【ホンダ N-BOX 試乗】後席アレンジ性&乗り心地が向上、改良新型は熟成の域に…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ N BOX
  • ホンダ N BOX
  • ホンダ N BOX
  • ホンダ N BOX
  • ホンダ N BOX
  • N BOX 後席フロアも広大
  • N BOX 後席スライド量は190mm
  • ホンダ N BOX
  • 後席スライドストラップ

ライバルを寄せつけない驚異のパッケージングを持つモアスペース系軽自動車の代表格の1台、『N-BOX』がマイナーチェンジを行った。

発売以来、初めてエクステリアデザインを変更したのはともかく、注目すべきは従来からある後席のダイブダウン&チップアップ機構はそのままに、『N-BOXスラッシュ』で採用された、開発陣悲願の後席5:5分割スライドリヤシートを新採用したことだ(タイプ別メーカーOP)。

そのおかげで従来の一体式でスライド機構のないリヤシートでは不可能だったシートアレンジが可能。後席の片側だけを格納し3座、3名乗車にすることでL字の荷室スペースを出現させたり、後席を前方にスライド(前後最大190mm)することでより大きなものを積載することができる。

N-BOXはクラス最大級の室内空間を備えているが、例えば身長172cmのボクのドラポジ基準で従来型は後席ひざ回りに410mmものスペースがあったものの、ある意味、過剰な広さでもあった。マイナーチェンジ後のモデルでは後席スライド機構によってひざ回り空間を230~430mmの範囲で調整できるようになり、荷室の荷物の大小により柔軟に対応できるわけだ。

荷室の奥行きは従来型は395mm固定だったものが、後席のスライド位置によって345~535mmの範囲でアレンジできるようになったのだから便利この上ない。

後席5:5分割スライドリヤシートを装着するとN BOXの大きな美点だった荷室開口部地上高480mmは545mmになってしまうものの、それでも驚異的に低く、依然、重い荷物の出し入れ、犬の乗降は容易だ。

また、「あんしんパッケージ」を装着すれば、先進安全装備の自動ブレーキシステム、サイドエアバッグも手に入り、商品力は完ぺきと言えそうだ。

ここで試乗したのは、今では全車にフロントスタビライザーと14インチタイヤを装着(初期モデルの標準車はスタビライザーレスで13インチタイヤだった)する、N-BOXの標準車だが、開発陣に聞いたところ、実はこっそり足回りの改良も行っているのである。乗り心地はわずかとはいえマイルドになり快適感を増し、それでいてマイナーチェンジ前のモデルより全高や重心を感じにくい走りっぷりを示してくれるようになっていた。

動力性能は不変で、このNAエンジンは日常域ベストなものとなるが、トルクは必要十分。速度に乗れば高速道路の巡行もそこそこ静かに無理なくこなす実力を持ち合わせる(横風の強い日は緊張するが)。

N-BOXの標準車にはNAモデル比10万円高の14インチタイヤを履くターボモデルも用意されるが、こちらはファーストカーとしても使える、NAモデルとは一線を画す動力性能のゆとりと巡行時の静粛性、走りの質感が手に入る。乗り心地は15インチタイヤを装着するカスタムのターボモデルよりマイルドかつ快適で、走行性能の余裕と快適度のバランスは見事。装備も充実しているため、実質的にはターボエンジンぶんの支払額は数万円高なのだから、ズバリ、買い得である。

ところで、N-BOXはN-BOXスラッシュ同様、極めてドッグフレンドリーな1台でもある。犬は地上380mmの高さにフロアがあるスライドドア、フロア高480~545(5:5分割スライドリヤシート車)の荷室側のどちらからでも快適に乗り降りが可能。マイナーチェンジ後のモデルは乗せ場所も一段と自由自在になっている。

後席にホンダ純正のペットシートマットを前後席ヘッドレストに固定し、ハンモックのように装着して乗せることができるのはもちろん、例えば後席を前方スライドさせた状態で、奥行き最大535mmの荷室拡大フロアにも乗せられるようになった(マイナーチェンジ前の奥行き395mmでは狭くて乗せられなかった)。

さらに後席足元フロアには最大奥行き600mm、幅1030mmものフラットフロアが広がり、そこにホンダ純正のペットフロアクッションを敷いて愛犬をゆったり快適にくつろがせることだってできるのだ。マイナーチェンジ前のモデルより進化し快適になった乗り心地も含め、愛犬向けモアスペース系軽自動車の代表格の座は、もはや揺るぎないものになったと言える。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。

《青山尚暉》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集