「新型『ロードスター』ですよね!」街中で試乗中、(トップを開けていたからよく聞こえたのだが)交差点で歩行者から、そう声をかけられた。このクルマへの関心度の高さを実感させられた瞬間だった。
4隅を大胆に切り落とした上、伸びやかに抑揚をもたせたボディは、全長で先代より105mmも短くコンパクトだが存在感がある。トランクオープナーのスイッチはバンパーの下向き面に隠すなどしてスッキリとした仕上げ。いかにもといったディテールは排除し、全体で魅せるスタイリングだ。
インテリアではクオリティ感において先代からまたレベルを上げた。革シート仕様の「Sレザーパッケージ」なら満足度も高い。たとえばメルセデスベンツ『SLK』などと同様、上級車ユーザーでも納得いくはずだ。
ドアトリム上部(とインパネ)にボディ色を配しボディとの連続感をもたせたのは旧車のイメージ。シートはサイズも十分で、ネットとウレタンを用いた新構造がスポーツカーらしいホールド性とセダンのような快適な座り心地を両立させている。ステアリング、ペダル、シフトなど、ポジションと各リーチは文句なくピタリと決まる。こだわりの設計の成果だ。
街中主体、量産前試作車による試乗だったが、走りの第一印象は“軽快”だった。ステアリング操作にクルマが素直についてくることがとくにいいが、視線が上下に振れないピッチングの小ささ、軽量ボディながら低速からしなやかな乗り心地も注目。
131ps/15.3kgf・mの1.5リットルエンジンは過剰な性能ではない分、持てる性能を気持ちよく使いきりながら走れる。オープン走行時のボディのしっかり感も先代以上だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。