ボディの表面に凹凸やエッジがほとんどないというのに、どうしてポルシェのデザインは説得力があるのだろう。計算されつくしたボディサイズもあるのだろうが、一番大きいのはやはりブランドが持つ品格である。ちょっとやそっとでは身につかない。にじみ出るオーラが違うのだ。
居住空間のインテリアとなると、さらにブランド力が溢れ出す。シフトレバーのまわりに並んだスイッチといい、スペースシップを彷彿させる室内ライトといい、マカンならではのやりたい放題ぶり、そして説得力。ユーザーの嗜好を分析するのではなく、ポルシェの名において、最良のものを提供する。文句があったら買わなくて結構といわんばかりの気概と勢いがひしひしと伝わってくるのである。
直列4気筒の2リットルターボエンジンは、乗り手をびくつかせないソフトな味付け。どかーんと突っ走るのではなく、マイルドに、でも果てしなく奥深くトルクを提供してくれる。さらに、モードをスポーツ、そしてスポーツ+へと入れると表情は変化し、乗り手を受け止めるためのトルクから攻撃型のトルクへと移っていく。鉄の塊に守られ、サスペンションの許容力の高さも惚れ惚れし、もう、どうやって走ってもうっとりなのである。
残念なのは2点。ハンドルを左から右へと換えていることで左足のフットスペースが狭いこと。もうひとつは、インパネ表示の日本語フォントが大きく、ちょっと気分が萎えちゃうことだ。これ、デザイナーはいないのか? 日本人ユーザーは小さい文字が見えない世代をターゲットにしているわけじゃないだろうに、ポルシェに求める「夢」をもうちょっとだけ考えてくれたらうれしいんだけどな。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。