カスタムというと、やんちゃな走り系という印象が強かったけれど、走りと上質を掛け合わせた「ハイパー」が設定された。ノーマルだと物足りないし、かといってボーイズレーサーなカスタムには乗りたくない人は多いわけで、走りと高級感をバランスさせたこの新たなグレードは要チェックだ。
インテリアを見ても、シートに革のあしらいがあり、ドアを開けたときの優越感がちょっと違う。試乗したのは、ターボのRS。同じハイパーでも、NAエンジンのXだとウレタンのハンドルになり、ちょっと残念な見た目&手触りになるので、RSの革巻きハンドルで軽快に走りたいところである。
NAエンジンだと少し気になるCVTのエンジン音も、ターボだとアクセル~加速開始へのタイムラグがほとんどなく、トルクある走りでぐいぐいと加速していく。ゆえにエンジン音の違和感もない。
ハンドルにつけられたパワースイッチを押すと、勝手にアクセル開度を大きくし、右足を踏まなくても坂道を上がっていく。エコ運転が意識の中にすりこまれた昨今、ペダルを踏む右足への負荷は罪悪感を味わうことが多いのだが、このパワースイッチだと指でぽちっと操作するだけなので罪悪感がないばかりか、ちょこちょこと楽しみながら適切なパワーをかけて走れることも面白い。
ただ、走りのしなやかさからいうと、ターボ車はタイヤが15インチなので路面凹凸の吸収がわずかに荒い。NAエンジンが履いている14インチの方が、上品で細やかで個人的には好み。せっかくいいサスペンション&ボディができたんだし、ぜんぶ14インチにしちゃえばよかったのに。クルマがよくなればなるほど、期待値も高くなる。こんなワガママな発言も、注目されるクルマの宿命ということで、ひとつご容赦を。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。