【インタビュー】マツダ CX-5 改良新型、SUVとしての資質を強調したデザイン

自動車 ニューモデル 新型車

マツダ CX-5 改良新型
  • マツダ CX-5 改良新型
  • マツダ CX-5 改良新型
  • デザイン本部チーフデザイナーの玉谷聡氏
  • マツダ CX-5 改良新型
  • デザイン本部チーフデザイナーの玉谷聡氏
  • デザイン本部チーフデザイナーの玉谷聡氏
  • マツダ CX-5 改良新型
  • マツダ CX-5 改良新型
マツダは大幅に改良した『CX-5』を発売。メカニズムのアップデートだけでなく、スタイリングにも手が加えられている。その内容や意図について、デザイン本部チーフデザイナーの玉谷聡氏に聞いた。

◆SUVの本質を磨くアップデート

----:商品説明では「SUVとしての強さ」を強調したということでしたが、これはどういった背景から生まれた方向性なのでしょうか?

玉谷氏(以下敬称略):2年前にデビューしたときは、クロスオーバー寄りのキャラクターを打ち出していました。でもその後、他社からさらに乗用車寄りの「クロスオーバーモデル」がいくつも登場してきたんです。その結果CX-5は、相対的にSUVの本流に近づくことになった。そこで従来の良い点はそのままに、SUVのメインストリームに位置づけられるようレベルアップを図りました。

----:国ごとの顧客層の違いはどう勘案したのでしょうか? たとえばアメリカでは比較的コンパクトなクラスで女性ユーザーが多い。しかし日本ではミドルクラスに近いサイズですし、男性比率が高い。

玉谷:性別の違いを意識せずに、ギア(装置、道具)としての強さを明確にすれば、どの市場でも受け入れられるという判断です。SUVはボディのマス(塊)が大きく、他の乗用モデルと同じ「魂動」の造形表現をやってしまうと「くどく」なってしまい、ギアとしての頑丈さや信頼性、それにオネストさ(誠実さ)を損なってしまう恐れもあります。ですからキャラクターを際立たせるためにも「強さ」を強調しようという狙いです。


◆力強さを明快に伝えるエクステリア

----:エクステリアではグリルの水平フィンが印象的です。

玉谷氏:旧型はエンブレムを中心にして、「シグネチャーウイング」のV字に合わせた表現。V字の躍動感がもたらす「若さ」を強調していたんです。これを水平基調にして、落ち着いたイメージに変更しました。最初はあちこちの形を捻ったりして力強さを表現しようとしましたが、強さも高品質感も出せず、無数にスケッチを描いても「ダメだ。でも、なんでダメなのかわからない!」と…。

----:筋肉質な面表現で力強さを表現する手法ではダメだったんですか?

玉谷:部分的に強いイメージの意匠を付け加えてみても、全体的には弱くなったように感じられてしまうのです。立体感を出すためにグリルのフィン両端を奥に押し込んでみると、貧相なおちょぼ口に見えてしまったり。ただ、SUVの本質を追求してギアっぽい強さを主張しよう、と決めてからは早かったですね。大きな面のつながりや明快さを表現しよう、この明快さが強さの表現になるんだ、と。そういうイメージスケッチをスタッフに見せて「この方向でいこう」と告げて皆でデザインスケッチを描き、クレイモデルを作って検証したら「これでいけるぞ!」となりました。

----:大きな面、ですか。

玉谷:グリルのフィン前端は上面から見ると弧を描いているのですが、この円弧の延長線がフォグランプ上のフィンにも繋がるようにしたんです。こうすることで実際に線は繋がっていなくても、見る人はフロントエンド全体がひとつの大きな面で構成されているように感じる。これで力強い押し出し感がスマートに演出できました。

----:見る人のディテールを追う視線をうまく誘導して、自然にボディ全体を認識するようにしたわけですね。

玉谷:またリアランプもテールランプとターンシグナルの位置を逆にして、ヘッドライトのグラフィックスを反復するように変更。これでワイド感が強調されただけでなく、前後のイメージを近づけることにもなっています。


◆長所をさらに伸ばすインテリア

----:インテリアについても聞かせてください。基本的には従来の造形を踏襲しているようですが。

玉谷:『アテンザ』はブランドのフラッグシップとして、変えなければいけないという結論でした。いっぽうCX-5はインパネの塊感や大らかさ、変に面をこねくり回していないところなどはSUVとしていいじゃないか、という判断です。そこに細かい部品や加飾などを相関させることで、全体のワイド感だとかスピード感を表現しよう、と。これはエクステリアのグリルやランプのアレンジと同じ考えですね。

----:内外装とも同じ思想でアレンジを加えた、と。

玉谷:インパネはすべて横方向に線が流れるイメージに変更しています。ピアノブラックの加飾をやめてレイヤードフィルムを採用。これは下層にヘアラインを入れたメタルシートがあり、その上に色付アクリルと保護シートを積層したもので、水平方向の勢いを強調しつつ、高品質感も出しました。

----:センターコンソールは若干イメージが変わったようです。

玉谷:スイッチ類に高品質感を持たせただけではなくて、インパネとの境界部分の形状を変えたんですよ。従来はスムーズに繋がってセンタークラスターと一体になったイメージでしたが、重たいインパネを下から押し上げ、支えているような形状に変更しています。

----:力強さを演出すると同時に、インパネの横方向の流れを阻害しない造形になったんですね。

玉谷:内外装ともアテンザや『デミオ』とは若干異なる表現をしていますが、これが現在のマツダ流SUVデザインです。
《古庄 速人》

編集部おすすめのニュース

特集