ダイハツ『コペンエクスプレイ』は、初代のコンセプトから大きく変えることを目標にデザインされた。
ダイハツ工業製品企画部チーフエンジニアの藤下修氏は、「単に先代コペンのモデルチェンジとして考えると、必ず“オールドブリティッシュクラシックスポーツ”のようなイメージが出てしまう。しかし、これでは今のカルチャーのなかでは良いクルマ作りができないし、なにより若いデザイナーたちが挑戦できない。そこで“コペンチャレンジプロジェクト”を立ち上げ、若い人たちだけのチームを作り、短期間で議論をしながら成果を上げるように取り組んだ」と話す。
ダイハツ工業デザイン部の池内淳さんは、「(コペンチャレンジプロジェクトは)自由な発想のもとにプロジェクトを進めていいとのことで、デザイン部内に3つのチームを作り、1か月くらいの短い期間で開発をしなければならなかった」と振り返る。
そして、「通常は1つのスケッチに対して1台のモデルを作るが、今回はスケッチ1案に対してモデルを2案作った。その際、別の案を作成している相手の状況が全く見えないように、モデラーの部屋を隔離した。その結果、でき上がったモデルはモデラーの感性によって、結構異なっていた」という。
「そのなかからデザイナーの意図に合うモデルを(チームごとに)1台選択して合計3案を制作。まずα案はスタイルを変え、β案はセオリーを変える。γ案はジャンルを変えるという3つの案として提案した」と述べる。
「そのなかで初代から一番世界観が遠いモデルでユーザーの反応を確かめてみようと、コペンチャレンジプロジェクトから最初に世に出ることになったのがγ案で東京モーターショー11に出品した『D-X』(のちのコペンエクスプレイ)だ。初代のイメージと異なったので、悪い評価もあるかなと思ったが、意外と多くの支持を得られたので、今回のプロジェクトにつながった」と語った。