【スーパーフォーミュラ】岡山テスト初日終了…可夢偉は参戦未定も「SFの楽しさが分かった」

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セッション後の会見に臨んだ小林可夢偉(左)。中央はバゲット、右はライマー。
  • セッション後の会見に臨んだ小林可夢偉(左)。中央はバゲット、右はライマー。
  • 可夢偉は午後もトップタイムをマークした。
  • コースに出て行く可夢偉のマシン。
  • 多くの報道陣が可夢偉のマシンに視線を送った。
  • チームルマンのエンジニアたちとディスカッションする可夢偉。
  • セッション後の会見。左から可夢偉、バゲット、ライマー。
  • チーム無限のマシンに乗ったファビオ・ライマー。
  • ナカジマのマシンに乗ったベルトラン・バゲット。

10日、岡山国際サーキットで開催中の全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)のテストにおいて「SF14」での初走行に臨んだ小林可夢偉は、セッション終了後に「多くのドライバーが『日本のレース(SF)は楽しい』と言う意味が分かった」との旨を語った。

午前午後ともドライコンディションとなった岡山テスト初日。佐藤琢磨に中嶋一貴、松田次生というビッグネームに加え、国内トップフォーミュラ初乗りの可夢偉登場とあって、多くのレースファンがサーキットにやって来た。サーキット関係者によれば、非公式ながら観客数は1000人超の規模に達したとのこと。皆が可夢偉に期待し、その来季を気にしている証でもある数字だが、今回のSFテスト参加はあくまでトヨタの要請による「試乗」で、彼の来季に直結するものではない。

その試乗インプレについては「今週中にトヨタさんのウェブサイトで発表しないと。それが今回、僕が依頼された仕事なので、今日はあんまり喋ったらいけないんですよ(笑)」という可夢偉。だが、「このコースをフォーミュラで走るのは12年ぶりでしたが、コースもしっかり覚えてましたし、スムーズに一日を終えられて良かったです」というSF14・トヨタ(#8 チームルマンのマシン)での走行初日を振り返っての“総評”は「楽しくて、いろんなドライバーが『日本のレース(SF)は楽しい』と言っている意味が分かりました」。SFへの印象は概ね良好なもののようである。

午前に続いて午後も可夢偉は最終的にトップタイムをマーク。午前と午後でエンジンの燃料流量リストリクターの最大流量設定が全車的に変更されており、もちろん各車によってテストメニューや走行条件、ニュータイヤ使用状況等も異なるため、ベストタイム順位は参考に過ぎないが、ただひとり1分12秒を破る1分11秒769(午前午後トータルの一番時計)を午後最後の45周目に記録した。

走行終了後、自身同様にSF実戦参戦経験がないファビオ・ライマー、ベルトラン・バゲットとともに臨んだ会見では、注目される来季について可夢偉はこのようなコメントを残してもいる。

「まだ来年のことは決まっていないし、現状、僕はどこにも所属していないので、来年のことはこれからの自分の判断次第でもある。もちろん、できれば(来季の)F1(実戦シート獲得)を目指したい気持ちはあるので、それを目指すなかで何が最善かを判断したい」。

しかし、来季のF1実戦シート獲得は正直、厳しい状況にある。それを踏まえると、上記のコメントはこうも読める。「できれば(極めて近い将来の)F1(復帰)を目指したい気持ちはあるので、それを目指すなかで何が最善かを判断したい」。そして「自分が納得できるカテゴリーで(来季の実戦を)走りたい」。

SFに関しても「このカテゴリーで走るかどうかも決めていない」とのことだが、マシンの速さや競争環境という面では、おそらく彼が「納得できる」水準にはあるだろう。さらに可夢偉はこうも語っている。「平日で寒いなか、多くのファンが来てくれた。こうして日本のファンとともに楽しむことの大事さも理解しているし、今回(トヨタのプロモーション企画の一環である)試乗を受けたのも、このカテゴリー(SF)がもっと注目されるようになってほしいから。日本がいろいろと難しい状況のなか、小さい子供たちがレースに夢を持てるように、ということも考えていきたい」。

前向きに思われる可夢偉のSF参戦、だが問題は「F1を目指すなかで最善か」という部分だろう。現在のSFはWEC(世界耐久選手権)の最高峰クラスであるLMP-1Hクラスとは人事交流が盛んだが、F1とのそれが活発とはいえない。ホンダのF1復帰で変化が生じるかも含め、そのあたりが可夢偉の「判断」にどう影響するか、というところが今後の焦点になると思われる。引き続き注目したい。

初日午後のベストタイムは以下の通り。ゲーム出身の異色選手、ヤン・マーデンボローが一時はトップに立つ健闘を見せ、2番手となっている。なお、中嶋一貴が乗るテストカーはトラブルに見舞われたらしく、6周のみの走行にとどまった。岡山テストは明日(11日)まで継続される。

8  小林可夢偉(チームルマン・トヨタ) 1分11秒769
20 ヤン・マーデンボロー(インパル・トヨタ) 1分12秒401
05 佐藤琢磨(テストカー・ホンダ) 1分12秒551
2  ファビオ・ライマー(無限・ホンダ) 1分12秒892
00 中嶋一貴(テストカー・トヨタ) 1分13秒160
18 松田次生(KCMG・トヨタ) 1分13秒228
3  佐々木大樹(KONDO・トヨタ) 1分13秒417
10 金石年弘(リアル・ホンダ) 1分13秒658
32 ベルトラン・バゲット(ナカジマ・ホンダ) 1分14秒167
11 桜井孝太郎(リアル・ホンダ) 1分14秒513
※左端の数字はカーナンバー、00と05以外のカッコ内はチーム名・搭載エンジン。バゲットはナカジマのNo.31でも走行したが、ベストはNo.32で記録。

《遠藤俊幸》

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