トヨタ自動車は11月18日に東京都江東区の日本科学未来館で、燃料電池車(FCV)『MIRAI(ミライ)』の市販に向けた発表会を開いた。国内では12月15日に発売し、2015年末までに400台の販売目標を掲げている。
注目の価格は消費税込みで723万6000円、税抜きでは670万円とした。購入者には国の補助金だけで約200万円が支給される。海外向けは15年夏以降、欧米での販売に着手するが、当面の生産量は年間1000台から数千台の規模。車両は燃料スタックや高圧水素タンクなど先端技術の高額ユニット品で構成されるため、当面は採算割れの状態となる見込みだ。
同日記者会見した加藤光久副社長も「採算のお話はできません」と苦笑し、暗にそうした事情を認めた。ただし、「もっと手頃な価格でご提供できるよう努力したい。それがわれわれの採算改善にもつながる」とし、得意の原価改善によってコストと量のジレンマを乗り越える意欲を示している。
中期的な価格目標については、開発責任者の田中義和・製品企画本部主査がFCVとガソリン車との差を「2025年くらいまでには、現状のハイブリッド車とガソリン車との差ぐらいにしたい」と指摘しており、あと10年ほどで大幅なコストダウンが図られることになりそうだ。