【SUPER GT 最終戦】松田次生&クインタレッリ組GT-R、GT500王座獲得を果たす

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最終戦を制してタイトルを獲得したニスモ陣営(左から鈴木豊監督、松田次生、クインタレッリ)。
  • 最終戦を制してタイトルを獲得したニスモ陣営(左から鈴木豊監督、松田次生、クインタレッリ)。
  • #23 ニスモGT-Rは最終戦を圧勝する。
  • チャンピオンボードを掲げる(左から)松田次生、クインタレッリ、鈴木豊監督。
  • 決勝日、準備を進める#23 GT-R陣営。
  • #36と#37、2台のTOM'S RC Fはタイトルを獲得できなかった。
  • #37 レクサス RC Fは13番グリッド発進から2位まで巻き返す(グリッド上の表示は14だが、ここは今回のレースの13番グリッド)。
  • #36 レクサス RC Fのロシターは初王座獲得を果たせず。
  • 決勝3位の#18 NSX。

SUPER GT最終戦は16日、栃木県・ツインリンクもてぎで決勝レースを行ない、GT500クラスはポール・トゥ・ウインしたニスモGT-Rの松田次生&ロニー・クインタレッリが逆転でドライバーズチャンピオン獲得を果たした。

もてぎは決勝日もドライコンディション(スタート約30分前の温度状況は気温16度、路温23度)。参戦15台が開幕戦以来となる全車ノーウエイトハンデの状態でシリーズ最短の決勝250kmを駆け抜けるスピードバトルの末に、新規定GT500マシン初年度タイトルの行方が決まる。ロードコース53周の最終決戦は、午後1時に開戦の刻を迎えた。

GT500のドライバーズチャンピオンは5つの陣営による争いとなっていたが、ポイント状況と予選順位から考えた場合、中心になると予想されたのは2陣営だ。ポール発進の#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田&クインタレッリ/タイヤはミシュラン=MI)と、#23優勝の場合に自身決勝2位で王座を獲得できる予選4位の#36 PETRONAS TOM’S RC F(中嶋一貴※&J.ロシター/ブリヂストン=BS)である(※一貴はWEC出場によるSUPER GT欠場が2戦あったためロシターより得点が少なく、#36で正式なドライバーズチャンピオンになれるのはロシターのみ)。

ところがオープニングラップで“2強”は明暗を分ける。#23 GT-Rがトップを守ったのに対し、#36 RC Fは#12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信&J-P.デ.オリベイラ/BS)とのアクシデントに遭遇、4番手は守ったものの、マシンにダメージを負ってしまったのだ(#12にドライブスルーペナルティ)。

#36 RC Fは徐々にポジションを下げていく展開となり、最終的にはこのレース10位。一方、#36に代わって上昇してきたのは、同じTOM’Sチームの#37 KeePer TOM’S RC F(伊藤大輔&A.カルダレッリ/BS)だった。13番グリッド発進からの巻き返しで、レース後半には2位まで上がる。

#36同様、#37 RC Fも勝てば自力王座だが、#23 GT-R優勝の場合に2位ではタイトルに届かないのが#36との条件の違い。#37 RC Fが2位に上がった頃には、首位#23 GT-Rは40秒の彼方であり、#37の驚異の挽回も優勝とタイトルにまでは達しなかった。

#23 GT-Rは次第に後続を引き離し、実質の先頭を譲らないまま250kmを走り抜け、独走の今季2勝目。逆転でドライバーズタイトルを手中にした(チーム部門タイトルも併せて獲得)。松田にとっては初、クインタレッリにとっては2年ぶり3回目のGT500ドライバーズタイトル獲得である。

松田が「走り始めから調子が良く、トラブルなどの不確定要素が敵でした。それが出ないように意識して戦って、ぶっちぎりで勝てた。ドライバー、チーム、タイヤの総合力だと思います」と語れば、相棒クインタレッリも「クルマがすごく速くて、タイヤもタレなかった。自分の好きな走りができた」という最終戦圧勝劇。ここ4年でGT-R&ミシュランとともに3回目のドライバーズチャンピオン獲得となったクインタレッリは、「今季の我々のマシンには常に一発の速さがあった」ことと「(苦手だった)寒い時季のミシュランタイヤの進歩」を、シーズンを通じての勝因に挙げている。

2007~08年にフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)を連覇している松田は、これでGT500と全日本トップフォーミュラの王座をともに極めた3人目の日本人選手となった。本山哲と高木虎之介という、チームメイトだったこともある先輩ふたりに並び、「嬉しいですね。フォーミュラで連覇した時も、やっぱりGT500も獲らないと(近代日本レース界のトップタイトルを)全部獲ったことにならない、と思いましたから。今日それを獲ることができて、ホッとしました」と語っていた。

日産勢としてはここ7年で4回目のGT500ドライバーズチャンピオン獲得だが、ニスモチームからの同チャンピオン輩出は6年ぶり。日産勢のマシン開発主担であるニスモは、人気面ではSUPER GTにおけるジャイアンツ的な存在でもあり、監督として初王座獲得の鈴木豊氏も「やっているチームの人間には忸怩たる気持ちもあったと思います。監督として申し訳なく感じるところもありましたが、今日こうしてチャンピオンを獲れましたから、そういうことも忘れてもらえるかなと思います」と、安堵の思いを話していた。

最終戦の決勝2位は#37 RC F。3位は#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴&伊沢拓也/MI)で、表彰台は日産、レクサス、ホンダが分け合ったかたちだが、4~5位は日産勢で、今回のレースウイークにおけるGT-R好調を象徴する結果ともなった。4位は#24 D’station ADVAN GT-R(M.クルム&佐々木大樹/ヨコハマ=YH)で、5位が#46 S Road MOLA GT-R(本山哲&柳田真孝/MI)。6位は#19 WedsSport ADVAN RC F(脇阪寿一&関口雄飛/YH)だった。

国内最高の人気と競技レベルを誇り、来季以降も激戦が予想されるSUPER GT。2015年シリーズは4月4~5日に岡山国際サーキットで開幕予定となっている。

《遠藤俊幸》

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