マツダ『デミオ XDツーリング』6速MT車の車両重量は、6速AT車よりフロント分の差で50kg軽く、ディーゼル搭載車中で最軽量だ。燃料タンク容量は35リットルながら、JC08モード燃費は30.0km/リットルを打ち立てている。
ではその走りは? というと、これが実に爽快なものだった。6速ATでも十分に自分の意思を反映させた走らせ方は可能。しかしMT車では、履き慣れたランニングシューズのように何もかも自然に扱える(自然に扱っていることに、ふと気づく)。
ここ最近のマツダMT車の通例でシフトとクラッチの操作性、フィールはなめらかでよく、どの段でも的確なエンジン性能を引き出せる。聞けば「エンジン回転の上でも下でもターボが最適な効き方になるよう、タービンへの風の当て方を制御している」(マツダ)とのこと。その成果が現れ、どこでも自然に扱えるエンジンになっているのだろう。
身のこなしも自然で、山道が気持ちよい。デミオのなかでも、スポーティさでは最上級かもしれない。
革シートのデザインを布に置き換えたシートも、デザインとセンスが秀逸な上、表皮の適度な“張り”と形状が身体を巧みに支えてくれ、走りの条件を整えてくれる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。