【フォード エコスポーツ 試乗】中・高回転域は意外や元気、少し回し気味が楽しい…石井昌道

試乗記 輸入車

石井昌道氏とフォード・エコスポーツ
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シャープなデザインが多いフォード車のなかにあって愛嬌たっぷりの顔つきで見る者をほっこりとした気分にさせる『エコスポーツ』。

初代モデルは南米向けだったが、想像以上のスマッシュヒットとなり、また世界中でコンパクトSUVの人気が高まりつつあることも受けてグローバルモデルへ昇格したという2代目は、ブラジル・フォードが開発を主導したという。そんな背景もあって、ラテン的な明るさを感じさせるのが、独自のキャラクターだ。

ラテン的と言うと、何やらユル~いイメージを持たれるかもしれないが、シートに腰掛け、ドライビング・ポジションを調整している段階でフォードらしい生真面目な一面に気付かされることになる。コンパクトなボディでもシートはサイズに余裕があり座面のクッション厚もたっぷり。フィット感も抜群で人によって違う腰や背中のカーブにもピタリと寄り添ってきて、体圧を分散させてくれるのがわかる。シートおよびステアリングの調整幅も広めにとられているので誰もが適正なドライビング・ポジションを得ることができるだろう。

走りはじめてみても、その高いシャシー性能に「さすがフォード」と膝を叩きたくなる。以前から『フォーカス』や『フィエスタ』といった、欧州を中心に販売されてきたフォード車は、絶妙なシャシー性能に定評があり、日本でも自動車メディア関係者やメーカーのエンジニア、そして目の肥えたユーザーからは支持を受けてきたが、エコスポーツにもそのDNAは色濃く受け継がれている。

サスペンションはソフトタッチでコーナーではそれなりにロールしていく。だが、ストロークが深くなるにつれてグーッと粘りが増していくような感覚があって乗員にまったく不安を抱かせず、むしろ頼もしいグリップ感とともに駆け抜けていく。その、硬くはないのにスポーティだという不思議なバランスが絶妙なのだ。可変ダンパーなど特別な装備を用いず、コンベンショナルな技術で相反する要素を両立しているのが評価されるポイント。背の高いSUVだからストローク感はたっぷりとしていて、乗り心地はフィエスタよりもいいぐらいだ。

エンジンは1.5リットルのNAで最高出力111ps、最大トルク140Nm。これにDCT(デュアルクラッチトランスミッション)の6速パワーシフトが組み合わされる。発進・加速では、正直に言ってそれほど速いとは思えず、標準的なコンパクトカーの走りといったところだが、エンジン回転上昇とともにリニアにパワーが盛り上がってくる感覚、スムーズでありながらダイレクト感や切れ味の良さなどDCTらしさが堪能できる。中・高回転域は意外や元気で、少し回し気味で走るのが楽しい。

FFなのでSUVと言っても悪路走破性には期待できないかと思いきや、180mmの地上高や大きくとられたアプローチアングル/デパーチャーアングルによって、凸凹の大きなオフロードに踏みいってもへっちゃらで、550mmの最大渡河水深を誇るのでちょっとした河渡りは何でもない。そこは新興国需要に対応した強みだろう。日本で乗る人はほとんどがオンロードでの使用しか考えていないだろうが、昨今は局地的な豪雨に見舞われることもあるので、もしかしたらエコスポーツを選んで良かったという場面に遭遇することがあるかもしれない。

背は高いが安定感があり、素直さとスポーティさがちょうど良くバランスしているシャシー性能、ヒップポイントの高さによる視界の良さ、そしてまさかの時に安心な悪路走破性能を備えるエコスポーツ。日常を楽しく快適に過ごすパートナーとして理想的な一台なのだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★


石井昌道|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。
《石井昌道》

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