【ジャカルタ現地レポ】「第二の人生」ジャカルタを走る埼京線に乗ってみた…通勤電車から生活の足へ

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ジャカルタの街を走る埼京線
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ジャカルタ・コタ駅のプラットホームに列車が滑り込む。インドネシア語で行き先を告げるアナウンスとともに開かれたドアの先には…日本で見慣れた光景が広がっていた。つり革、ベンチシート、日本語で書かれた「禁煙」と「優先席」の文字、そして「モハ204-255」という車体番号。そう、この列車は都心の通勤電車として活躍していた埼京線そのものなのだ。

インドネシアのジャカルタ首都圏鉄道会社では、2000年頃から日本の中古車両を積極的に導入している。これまで都営三田線、地下鉄東西線、東急線などの車両がジャカルタ市民の足として活躍してきた。2013年には、JR東日本から埼京線で使われた車両の譲渡、技術支援を受け入れることを発表していた。加速的に成長を続けるインドネシアは、貧富の格差問題、そして深刻な渋滞問題を抱えている。これに光をともすのが、「日本の電車」というわけだ。

ジャカルタ首都圏鉄道は、オランダ統治下時代の歴史をわずかに残すコタから南部ボゴールへの線をメインに、インドネシアの東西南北を結ぶ。今後は、ジャカルタの入口「スカルノ・ハッタ空港」への延伸も計画されているということだ。今回は、始発のコタ駅からジャカルタ市街地の中心に位置するターミナル駅のマンガライ駅まで、約10kmの旅を体験した。

有人の券売所でマンガライ駅まで約50円のチケットを買う。意外にも(?)チケットはタッチ式のICカード。ただ、駅によっては入場時、左側のセンサーにタッチする必要があるため注意が必要だ。いざ、ホームへ。

知らずにホームに入ってくる列車を見れば、日本人、特に首都圏近郊に住む人ならば必ず「おや?」と思うだろう。車体は濃い赤と蛍光の黄色に塗装されているものの、その形状はまさにひと昔まえの埼京線そのもの。

車内は、中吊り広告こそないものの、「ザ・通勤電車」といった出で立ちはほとんどそのまま。飛び交う言語がインドネシア語だったり、「ドリアン持ち込み禁止」の文字を気にしなければ、「今日は外国人の乗客が多いのかな」くらいの感覚でほとんど違和感を覚えることもない。

埼京線はゆっくりゆっくりと走り出し、ジャカルタ郊外から市街地へと向かう。時速はせいぜい20~30km/h程度だろう。妙に手に馴染むつり革に揺られていると、まるで与野あたりから池袋に向かって車間調整をしながら走っているような気分になるのは不思議なものだ。

30分ほどで目的地のマンガライ駅へ到着。ちょうど対面のホームに三田線の姿があった。ターミナル駅ではあるが、プラットフォームはなく乗降には脚立を使う。ホームの行き来には停車している車両を突き抜けていくか、線路を渡るしかない。東南アジアらしい光景を眺めながら、ようやく自分が今、インドネシアに居たのだということを思い出す。出口でセンサーにタッチし、短いジャカルタ埼京線の旅は終了だ。

第二の人生を与えられた埼京線。インドネシア流に派手に塗装されたファニーフェイスは、再び走ることを歓んでいるようにも見えた。これからもジャカルタ市民を暖かく見守り、広く生活の足として活躍していくのだろう。
《宮崎壮人》

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