インドネシアでは子だくさんの家庭が多く、多人数乗れる3列シート車(MPV)が人気だ。ダイハツには『セニア』というMPVがあり、LCGC(ローコストグリーンカー)の税制優遇を受ける5ドア・ハッチの『アイラ』が登場した後も、セニアの販売は好調を続けている。ダイハツからOEM供給の姉妹車、トヨタ『アバンザ』はインドネシアのベストセラーカーだ。
しかしダイハツは現状に満足しているわけではないらしい。今回のショーで披露した『UFC3』は、セニアより少しコンパクトなMPVのコンセプトカー。その名が示すように、12年のUFC、13年のUFC2に続く第3弾だ。同じ基本コンセプトで3台目ともなれば、かなり現実に近いはずで、ダイハツも量産化が遠くないことを示唆している。
セニアは『テリオス』(日本の『ビーゴ』の3列シート版)のプラットホームをベースとするFRなのに対し、UFC3はFF。どうやらアイラのプラットホームを延長しているようだ。ホイールベースはアイラより75mm長い2525mm。FFのスペース効率を活かし、セニアより145mm短い3995mmの全長ながら、それと同等の室内長を実現しているという。
エクステリアはシャープなラインとピンと張った面で彫りの深い表情を演出。スペース重視のMPVながらも、スポーティでダイナミックなデザインとしている。インテリアは水平基調のインパネに薄型のセンタークラスターを自立させ、広々感を強調。薄型センタークラスターはコスト的に難しそうだが、それ以外は現実味の濃いデザインに見える。
日産が「ダットサン」ブランドで、すでに『ゴープラス・パンチャ』というLCGC適合のMPVをインドネシアで発売しているので、ダイハツとしてもUFC3の量産化は待ったなしのはずだ。ゴープラス・パンチャは5ドアの『ゴー』と同じホイールベースで、3列目席を緊急用と割り切った5+2シーター。UFC3の量産版はフル7シーターの実用性を武器にゴープラス・パンチャに挑むことになる。