テスラモーターズのイーロン・マスクCEOは8日、『モデルS』の納車開始に合わせ東京で会見を実施。EV用電池の生産で協力関係にあるパナソニック、EV開発で提携するトヨタについて「素晴らしい関係」として日本とのつながりを強調した。一方で、トヨタなどが次世代エコカーとして普及をめざす燃料電池車については懐疑的な見方を示した。
マスクCEOはモデルSをはじめとする電気自動車(EV)について、電力は持続可能なエネルギーであり太陽光発電をはじめとする自然エネルギーを活用することで、有効な移動手段となることをアピール。また、「太陽光発電は日本に適している」として日本では太陽光発電の市場が活発化するだろうと話す。
一方で、次世代エコカーのひとつとして期待されている、水素を燃料とする燃料電池車(FCV)については「今はそちらに行くべきではない」と切り捨てた。FCVは、テスラとも提携関係にあるトヨタを中心に普及に向けた動きが活発化している。2015年にはトヨタがFCVを市販する予定で、水素チャージインフラの整備も進められている。
マスクCEOはその理由として、「今は実験、トライの段階。水素は燃料とするのに時間も手間も掛かる。EVで使用する電気を作る以上のエネルギーを使用してしまう。(EVに対し)勝ち目はない。また貯蔵、輸送も難しい上、揮発性が高いことから(安全に対する)影響も小さくはない」ことを挙げ、「ロケットスタートは難しいだろう。今は(水素に)行くべきではない」と持論を展開した。
しかし大株主でもあるトヨタとの関係については「まだまだ学ぶものは多い」と話す。「今年度末に提携は終了するが、2-3年後に新しい取り組みが出てきても不思議ではない。その時にはさらに大規模なものになるだろう」として、EV分野を中心に協力関係を継続していく考えを述べた。