ピレリ傘下のメッツラーが二輪車用新ロードスポーツタイヤ、「スポルテックM7RR」を発表した。
ドイツブランドのメッツラーは現在、ピレリグループに属しており、開発はイタリアのミラノにあるピレリタイヤと同じ部門で行われている。
しかし、メッツラーとピレリは同じタイヤにブランドを打ち換えただけのものではなく、それぞれに専用設計がされている。ピレリがレーシーなエキサイティング指向だとしたら、メッツラーはやや耐久性に富むツーリング指向というように、造り込みを絶妙にアレンジしている。
メッツラーの「スポルテック」は、サーキット指向の「レーステック」、公道指向の「ロードテック」の中間に位置付けられるスポーツ指向のタイヤだ。そして、新しい M7RR は、M5 の後継型であり、末尾の“RR”は“ロード・レーシング”を意味している。つまり、マン島TTレースをはじめとした公道レースのノウハウを還元したスーパースポーツタイヤなのだ。(※メッツラーはマン島TTレースやパイクスピーク国際ヒルクライムにタイヤを供給している)
M7RR は、タイヤの外径を大きくしていることが特徴の一つである。サイドウォールを高くするだけでなく、プロファイルもラウンドな形状とすることで、吸収性を高めるとともに、接地面積を拡大させている。
内部構造には、レーヨンカーカスの線密度と引張強度を高めながら、打ち込み本数を減らすというレーシングタイヤの技術を投入。変形を抑制しながらも、カーカスをコーティングしているゴムの割合を増やすことで弾性を高め、フィードバックとコントロール性を向上させている。
トレッドパターンは、フロントの溝面積を増やしてウェットグリップを高める一方、リヤは溝面積を減らし、ドライグリップを確保している。水膜がフロントで排除されるため、溝を減らしても大丈夫という判断だ。
パターンデザインも独特で、リーン時に多い溝で排水性を高めるも、トレッドの変形でヨレが生じないように、コンパウンドブリッジと呼ばれる中央寄り2列の縦溝を設け、そこで変形を吸収させている。
コンパウンドは、フロントに低温ウェット時にもグリップ力を発揮できる100%シリカを採用。リヤは2分割式とし、中央に耐磨耗性に優れる70%シリカとしている。
見た目にも、スーパースポーツタイヤとしては溝が多いM7RRは、公道での現実に照準を当てていることが伺える。