【スズキ Vストローム1000 ABS 試乗】パワフルに進化したエンジン、低速域でもストレスフリー…和歌山利宏

試乗記 国産車
スズキ・Vストローム1000 ABS
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現在、ほとんどのメーカーからラインアップされているアドベンチャーモデル。そんな中、スズキは『Vストローム1000』をフルモデルチェンジし、今年6月に日本国内に投入。エンジンは従来のボアアップだが、中身のほとんどが刷新され、日常域を視野にとらえた特性となった。

このVストローム1000がカテゴライズされる、ビッグデュアルパーパス、あるいはアドベンチャーと呼ばれるモデルは、欧州をはじめ世界中で人気を博し、ツアラーとしてだけでなく、ストリートバイクとしても注目されている。

それらに共通する特性として、乗車姿勢がアップライトで下半身にも余裕があり快適。目の位置が高いため視界も良好。車体面では、サスペンションストロークが大きく、砂利や段差などが目立つ不整地での走破性も高く、あらゆる路面状況に寛容。そして、純粋なロードモデルに対し、ハンドルの切れ角が大きく、機動性が高い。エンジンも中速型の特性とし、総じて高性能スポーツモデルに比べ、日常性に富んでいる。

今回の『Vストローム1000 ABS』のエンジンは、1997年の『TL1000S』、2003年の『SV1000S』を基本とする90度Vツインだが、いざ始動してみると、それらとは異質だ。ツインプラグ化され、さらにそれぞれがコイルを有し、またクランクマスも大きくなっているため、滑らかで、かつ力強い。その反面、Vツインの鼓動感が埋もれている気もするが、極低回転の安定感、そしてそのふくよかさは、マシンを操る際に絶大な安心感を与えてくれる。

アシスト効果があるクラッチは、操作力も軽く、マシンをさらに軽快に感じさせてくれる。そして走り出すや、スロットル加減で大柄な車体を力強く振り回せ、しかも扱いやすい。

最大トルクが発生する4000rpmの速度は、6速ギアで110km/h。高速道路を2人乗りでの追い越し加速も、ギアを下げずに事は足りそうだ。日常域でリッターツインの性能を生かし切ることができるわけで、1200ccクラスのモデルとのハンデも感じさせない。

ただ、タコメータのレッドゾーンが始まる9200rpmまで回るものの、7000rpm付近からは、パワーが頭打ちになった感覚で、速度が上昇していくだけといった感じではある。しかし、最高出力100psを発生する8000rpmを上限とし、3000~4000rpmを常用すると考えれば、それは日常域を照準としたバイクと変わらないわけで、現実的で、ストレスを感じさせないのである。

《和歌山 利宏》

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