【日産 スカイライン 試乗】骨格は素晴らしいが味付けに洗練の余地あり…中村孝仁

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日産 スカイライン
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その名は『スカイライン』。エンブレムはインフィニティだが、インフィニティを名乗らず、かといって日産も名乗らない。日産が作るがそれを名乗らないスカイラインという名のニューモデルである。

周知の通り、このクルマは北米市場でインフィニティ『Q50』の名で販売されているモデルだ。インフィニティは日産の高級ブランド。全く同じクルマが北米ではインフィニティを名乗り、日本では日産だと世界に対しては示しがつかない。そこで、どちらも名乗らないが、エンブレムだけはインフィニティを残したという苦肉の策なわけである。そして、日本市場は今のところハイブリッド仕様だけ。当然ながら高価になり、旧型で最も高かったモデルとニューモデルの最も安いモデルがほぼ同じ値段となった。

ニューモデルの肝は、ハイブリッドもさることながらダイレクトアダプティブステアリングと名付けられた、世界初のいわゆるバイワイヤー方式のステアリングシステムにある。一応、ステアリングシャフトはあるものの、中間にクラッチが入っていて、常に1ミリほど離れた状態。このため、路面にアンジュレーションがある、ワンダリングを起こしやすいような状況下でも、ステアリングは常に直進を保ってくれるという優れものだ。そのためのテストコースを用意してくれたのだが、それは斜めにキャッツアイを並べたもので、確かに横方向のステアリングのブレはなかったが、キャッツアイを乗り越える上下動が入ってしまい、正直素晴らしさを実感するには至らなかった。ただし、これは画期的なシステムである。少なくともレスポンスに関しては抜群。少し人為的なチューニングの跡が否めないが、それは時が解決してくれると思う。

サイズは旧型と比較して全高で10ミリ低く、全幅で50ミリも拡大され、明らかに日本市場というよりアメリカを意識したサイズ感を持つ。

このクルマには車線をカメラで認識し、常に車線の中央を走るようステアリングを修正するアクティブレーンコントロールという装備も持つ。クルーズコントロールと連動しているわけではなく、時速70km以上で常に働くものだが、介入はかなりマイルド(調整できるが)で、手放しで運転できるほどの制度ではなかった。さらにスタンダード、スポーツ、エコ、スノー、そしてパーソナルという5つのドライブモードから好みの設定を作り出せるドライビングアシスタンス機能も装備。最大96通りの特性を作り出すことができるという。変えられるのはステアリングの操舵感、エンジン特性、シフトプログラム、スタビリティアシストの有無、アクティブコントロールの強弱などである。一般的にはスタンダードもしくはスポーツをセレクトしていれば、十分にその違いを堪能することができると思う。

センターコンソールには二つのディスプレイが備わり、上側にナビ、下側にはスマホの画面のようにアプリが表示されてナビ画面を消すことなく、色々な設定を変えることができるようになっている。

まさに電子技術の粋を集めたようなモデルに仕上がっているが、上述したようにまだかなり人為的な介入が多く、そのフィールが自然かというと必ずしもそうでない部分が多い。しかし、ベースとなるクルマの骨格は素晴らしく強化されていて、素材としては最高の出来を示す。タイヤは19インチと17インチの設定がある。スタイルで選べば19インチだろうが、性能的には17インチで十分。19をチョイスすると快適性を損なう。

■5つ星評価
パッケージン: ★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度 :★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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