ちょっとファンキーで、可愛いカッコ良さも感じる新コンセプトの軽乗用車『ハスラー』が大人気だ。月産5000台を予定していたが、すでに3月末納車が間に合わないほどの注文があったという。その人気の秘密はどこにあるのか、今回は装備を通して考えてみた。
ハスラーに試乗しながら信号待ちで感じたのは、方々から受ける視線。カラーリングがオレンジやピンクといった“目立ち色”であることもあると思うが、ハイト系ワゴンとして車高も高いので、全体の雰囲気が明らかに従来の軽乗用車とは違う。この辺りは計算されたデザインとは思うが、最初は60歳近い親父が乗るには少々恥ずかしい気もした。しかし、乗っているウチにその視線にも慣れ、不思議とその雰囲気に馴染んでやろうとという気にすらなってくる。
内装を見回すと、その雰囲気にはその親父も唸ってしまうほどの洒落た雰囲気でいっぱいだ。とくにメインカラーであるオレンジ色をボディカラーに選ぶと、内装も同じ色でコーディネイト。それ以外のボディ色の場合はホワイトで統一される。しかもその範囲はドアアームレストにまで及ぶ。また、シート地は黒がベースだが、シートのパイピングをオレンジとブルー、ピンクはボディと同色で、それ以外はホワイトでかたどる。これらが相互に作用してとても軽乗用車とは思えない高品質感と洒落た雰囲気を作り上げているのだ。
内装を担当したというスズキ四輪内装設計部の松本慎一郎氏は、内装を設計する際、「軽乗用車の枠にはまらず、外観の個性に負けないこだわりの内装に仕上げたかった」と話す。さらに、ダッシュボード左右にあるエアコンの吹き出し口と、ドアスピーカーのグリルはヘッドランプ周囲のデザインと同一。この辺りは、ハスラーとしての遊び心とこだわりがこれを採用させたのだという。
そして、ドアロックをリモコンでON/OFFして気付いたことがある。それはフォグランプのスイッチをオンにしたまま、ドアロックした後、リモコンでドアロックを解除すると、ハザードランプが点滅するだけでなく、一定時間の間、フォグランプも点灯する、という点だ。これは明かりの少ないところでもクルマの周囲が明るく照らされるよう配慮した結果。この装備は、まさにアウトドア志向の強いハスラーならではの親切装備と言えるだろう。
また、ハスラーでは駆動系が2WDと4WD。エンジンがノンターボ/ターボの組み合わせが可能だが、外観上の違いはまったくといっていいほどない。強いて違いを見つけるならば、ターボ車のマフラーがノンターボ車よりも若干太いことぐらい。違いはホントこれだけ。ハスラーのユーザーはグレードによらず、同じ楽しみ方をして欲しい。そんな想いがシリーズ全体に及んでいるのだ。こうした部分に人気の秘密はあるのではないだろうか。