日本最速カテゴリー「全日本選手権スーパーフォーミュラ」の今季最初の合同テスト(3月4~5日)で、新人の平川亮がトヨタ勢最速、総合でも2番手となるタイムをマークし、いきなり大器の片鱗を見せつけた。
ファン感謝デーおよびプレ開幕戦の第0戦に引き続いて、鈴鹿サーキットで実施された合同テスト。今季参戦の19台全車が参加予定だったが、第0戦での多重事故の影響で嵯峨宏紀(とちぎルボーセ・トヨタ)は残念ながら不参加となったものの、他の18台(20選手)はブリヂストンの今季用新スペックタイヤによるタイムアップ効果が大きいのか、好タイムを連発した。
最終的な総合トップタイムは小暮卓史(ナカジマ・ホンダ)がマークした1分36秒574で、これは昨季最終戦(11月)の予選でマークされたレコードタイム(1分38秒700)を2秒以上も上まわる水準。そのなかで、キグナス スノコ チーム ルマンのマシンを駆る平川はトヨタ勢最速、全体でも小暮に次いで2位の1分36秒736をマークしたのである。
もちろん、各車のメニューや走行コンディションが異なるテストでのベストタイムだけをもって、優劣を論じたり、シーズンを占ったりすることはできない。ただ、大物というのはこういった“出方”をするのがスポーツの世界の常であり、その意味では昨年の全日本F3選手権でデビュー即連勝、18歳の若さでチャンピオンとなった平川が、やはり“何か”をもっていることは間違いないだろう。国内外の強豪が集い、ハイレベルな接戦を展開するスーパーフォーミュラでF3と同じことが可能だとは思えないにしても、19歳で迎える今季、相当にやってくれそうな期待は充分である。
レコードタイム続出のなかでの上位成績だけに、本物感も漂ってきた平川。今回の活躍によって、3月20~21日の富士合同テスト、そして4月13~14日の開幕戦鈴鹿では、彼の一挙一動が当初の予測以上に大きな注目を集めることだろう。
それにしても今季のスーパーフォーミュラのタイムアップは凄まじい。11月と3月初旬なら、気象コンディション的に大きな違いはないわけで、新スペックタイヤの効果と、マシンの進化・熟成ぶりがうかがえるところだ。ちなみに1分36秒574は、昨年10月のF1日本GPなら予選24位に相当し、F1マシンを1台蹴落とせるタイムである。平川の1分36秒736も、F1の予選24位に0.002秒差と迫るタイムだった。