韓国GMの手によって製造されるコンパクトモデルである『ソニック』。そのフルドレスアップ&チューニング仕様に試乗した。
まず、クルマを動かして感心したのは、ちゃんとウインカーが右レバー、ワイパーが左レバーになっていること。最近は日本に輸入されている外国のクルマもかなり右ハンドル仕様が増えてきたが、ここまでやっているクルマは少ない。
日本の自動車メーカーは輸出先に対して細かい仕様変更を行っているが、海外メーカーは“はい、右にハンドル移動しました”で終わりのことも多い。日本できちん売り、地位を築きたいなら細かいところまでの仕様変更が大切。特殊なクルマは別にして、一般的なコンパクトなどはこうしたことまでやるべきだろう。
さて、このソニック。エンジンは1.6リットルの4気筒で、最高出力は115馬力。指定燃料はレギュラーガソリンで、これもなかなか偉いところ。組み合わされるミッションは6速のATだ。
まずはセレクトレバーをDの位置に入れて走り始める。1.6リットルの4気筒エンジンとしては普通の性能。とくにとがった部分もなければ、不満を感じる部分もない。JC08モード燃費は10.9km/リットルと、同クラスの国産車と比べると少し不満が残る部分だが、実用燃費でどれくらいの性能となるのかが興味深い。
ソニックのATにはマニュアルモードが装備されている。ATのマニュアルモードといえば、レバーをサブゲートに移動しての操作や、ステアリングコラムに装備されたパドルレバーによる操作、ステアリング上のスイッチなどが一般的だが、ソニックは違う。
セレクトレバーをMの位置まで移動してから、ノブの右サイドに装着された「+」と「−」のスイッチを押して行う。素早いシフトワークが可能というわけではないが、マニュアル操作の楽しさの一端は味わうことができる。
ところで、このソニックの画像を見て、やたらと派手なクルマだと思っている人も多いだろう。じつはこのソニックは、東京オートサロン2013に出展されたモデルそのまま。
各種のドレスアップパーツのほか、足まわりには車高調整式のショックアブソーバーが組み込まれ、タイヤはグッドイヤーのイーグルF1(225/40R18)に変更されている。このため、コーナーでは適度にロールが抑えられ、ステアリングの切り始めの反応もいい。シート表皮に柔らかい素材を使っているため、それが効いて乗り心地もそれほど損なわれていない。
人とは違う、ちょっと変わったクルマで目立ちたいという人は、一見の価値ありと感じた1台だった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。