【ダイハツ ムーヴ 試乗】走りと商品力を一気に引き上げた「ぶつからない軽」…青山尚暉

試乗記 国産車
新型ムーブ
  • 新型ムーブ
  • 新型ムーブ
  • 新型ムーブ
  • ドアミラーはドア付け。三角窓からの視界は良好。
  • 新型ムーブ
  • 新型ムーブ
  • 前後ドアともにほぼ直角まで開く
  • 後席の乗降性は抜群。

2012年12月にダイハツ『ムーヴ』はマイナーチェンジが行われたが、その内容はビッグチェンジ、いやフルチェンジに等しい。

何しろ燃費性能、先進安全装備、内外装、インパネデザイン、足回りなどまでを全面的に改良したのだから!!

『ミラ イース』から始まったイーステクノロジーはさらに進化。サーモマネージメントと呼ばれるCVTフルードを素早く温めるサーモコントローラーやCVTのハイギヤ化、これまでの7km/hから9km/h以下で作動するエコアイドルなどによってクラス最高のJC08モード燃費29.0km/リットルを達成。

さらにスバルの「アイサイト」を手本に開発したという低速域衝突回避支援&誤発進抑制制御システム「スマートアシスト」を、機能を絞ることでVSC&TRCとセットで価格破壊と言える5万円で軽自動車初搭載。ついに「ぶつからない軽?」の登場である。

足回りは操安性&乗り心地向上を目的にダンパー、バネ、ブッシュのファインチューニング。さらにフロントスタビライザー&ローダウンサスを全車に採用する。

そうした大改良の目的は、ホンダ『N BOX』、149万円で衝突回避支援システムまで付くVW『up!』といった新たなライバル!?を迎え撃つためだ。もはやムーヴの敵はスズキ『ワゴンR』だけではない。

NAモデルの走りは相変わらずクラスベストな低速トルクの豊かさが好印象。80km/hまでの加速ならまったくストレスなし。出足のザワザワした3気筒感がない点ではN BOXを敵としない。

フロント10mm、リヤ15mmのローダウンでターボRSと同じ姿勢となり、フロントスタビライザーを標準化したため、とにかくロールが減り、安定感はもう抜群。ステアフィールがごく自然でスムーズかつリニアになったことも特筆すべき点だ。そしてローダウンによってハイト系でも転倒防止のために足回りを硬める必要がなくなったため、乗り心地は軽自動車最上級、どころかコンパクトカー並みの上質感、段差やマンホール越えでのショック、音、振動のなさを達成しているから凄い。吸音・遮音材の最適配置&追加による静粛性の高さでももはや軽自動車最上級である。

お薦めは113万円で買える、軽自動車にライバルなき「スマートアシスト」完備のL"SA"グレードに尽きるだろう。コンパクトカーも戦々恐々、そんな軽自動車の登場である。

ムーブは愛犬を乗せるにも適している。荷室開口高はワゴンRよりずっと低い地上570mm(ワゴンRは680mm)。中大型犬なら無理なく飛び乗れる高さだ。後席を格納すれば大型犬さえゆったりくつろげるフラットスペースが出現するし、高さもあるため大型クレートも積載可能。もちろん、後席への乗車も容易だ。乗り心地の良さ、静粛性の高さは、愛犬も大歓迎のはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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