試乗車は導入当時から設定された「スポーツパッケージ」に、さらにオプションの17インチタイヤ(215/40R17)とホイールを装着した個体。前後して試乗した5ドアのA1スポーツバックに較べ、格段にスポーツ度が上がっているのを実感する。乗り心地は明らかにハードだが、その分、操縦性は全体によりダイレクトで、身のこなしもさらに俊敏な印象。カタログ上、車重はこちらのほうが30kg軽い。運転席まわりの設計は共通のはずだが、フロントシートは3ドアのほうが座面前後長が僅かに長くとってあり、着座位置を5ドアより低めてセットしたほうが自然に思える。別にミニに続け……という訳ではないが、シャープな走りっぷりからも、いっそクーペをバリエーション追加してもいいのでは?とさえ思える。実用面では後席の居住性は5ドアに一歩譲る。ヘッドレストを上げて着座すると、ルーフが丸くすぼまっているせいもあり、天井とCピラートリムが乗員の後頭部横に触れてしまう。ドアも5ドアでは十分だったスペースで、ドアが大きいこちらはせいぜい2ノッチしか開けられず、その角度での乗降はやや苦しい。とはいえ、アウディ品質が保証され、カジュアルなコンパクトスポーツ気分で乗れる点の価値が大きい。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。