【三菱 ミラージュ 新型発表】超軽量ホットハッチ「ラリーアート」は誕生するか

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  • コルト ラリーアート バージョンR。エンジンは1.5Lの4G15型MIVECターボ

三菱自動車が8月31日に発売する新型コンパクトカー『ミラージュ』。JC08モード走行時で27.2km/リットルという高い燃費性能を実現する原動力となったのは、860~870kgというきわめて軽い車重だ。一方で軽量ボディは加速、ブレーキング、コーナリングなど、走行性能の向上にも大いに寄与するはず。そこで興味が湧くのは、ミラージュに「ラリーアート」などのホットモデルが追加されることはあるのか、ということだ。

「低燃費、低価格なコンパクトカーであることが新型ミラージュの第1の訴求点ですが、これからの長いモデルライフの中では、いろいろなバリエーションをを持たせたいと考えています。ホットモデルももちろんその一案ですし、開発に関わった者としてはいずれ実現させたいという思いもあります」

開発を担当したグローバルスモールプロジェクト推進本部の増田浩久エキスパートは、まだ明確に話せるプロジェクトはないと前置きしながらも、こう意欲を語る。

もし新型ミラージュにホットハッチを追加するとしたら、どのような仕様のモデルになるのだろうか。走り好きのユーザーが夢想するのは、生産終了した兄貴分の『コルト・ラリーアート』に搭載されていた最高出力154馬力の1.5リットルMIVECターボのような強力なユニットを移植することだろう。車重1000kgを切れれば、パワーウェイトレシオは6kg/ps台後半となり、相当にエキサイティングなモデルになるだろう。

が、残念ながら、そこまでのチューニングはさすがに難しいようだ。

「ミラージュのエンジンベイは3気筒エンジンを搭載することを前提に作られています。横幅を詰めた4気筒エンジンを新しく設計すれば載らないこともないでしょうが、そのために新規でエンジンを起こすことはまずないでしょう」(増田氏)

ユーザーニーズがあれば即実行可能なのは、ASEAN(東南アジア諸国連合)市場に展開している1.2リットルエンジン(78ps・10.2kgm)搭載モデルの足回りをスポーティなものにしてリリースすることだという。

「今回発売したノーマルモデルは原価低減と軽量化のため、スタビライザーが未装備です。スタビを入れて足回りをスポーティにチューニングしてやれば、ボディが軽いだけにそれだけで相当小気味の良い走りになると思います」(増田氏)

ミラージュのエンジンは、1リットル3A90型は『コルト』の1.3リットル4A90型、1.2リットル3A92型は欧州『ランサー』の1.6リットル4A92型を1気筒落とし、3気筒化したものだ。1リットル3気筒のほうは1気筒あたりの出力は1.3リットル直4と同じ(23ps/気筒)。1.2リットルもランサーと同じスペック(29.3ps/気筒)に合わせれば88ps程度の出力を確保できる計算になる。その場合でも予想パワーウェイトレシオは10kg/ps強と、動力性能的には決して強力とは言えないが、車重の絶対値が小さいだけに、ワインディングマシンとしては十分以上に楽しいクルマに仕上がるだろう。

ちなみに、それ以上のハイパワー化の可能性はないのか。

「3気筒ターボという手がありますね。フロント部分の改設計が必要になりますが、4気筒よりはずっと現実的です」(増田氏)

ターボ化とボディ補強を行えば、車重は900kg台半ばくらいに増えるであろうが、排気量1リットルあたり100psとすれば、1.2リットル3気筒ターボは120ps。重量増を考慮しても相当なかっ飛びモデルに変貌することだろう。ちなみに三菱自のA型エンジンは設計年次は古いものの強度には最新のエンジンより余裕があり、ターボ化は比較的容易。ホットハッチファンとしては興味津々なところだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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