【ホンダ N BOX+ カスタム 試乗】コワモテとユニバーサルデザインの不思議な融合

試乗記 国産車
ワルな顔つきは好みが分かれそう。
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  • 2トーンカラーのボディ。ブルー基本カラーに対してルーフ、ドアミラー、ホイールが白くなる。写真は標準車のターボモデル。
  • NAエンジンは58馬力。重くなった車重にはギリギリの性能。街乗り専用車と割り切りたい。
  • インパネ回りはN BOXと変わらない。
  • ルーサイド左右にシャッター式収納を完備。
  • 最大荷室状態。写真はターボモデル。
  • ピクニック仕様。大きく張り出したバックドアがここでは役立つ。

すごい発想の自動車が出現した。その名前は『N BOX+』。予告されていた第三のN BOXだが、想像をはるかに超えていた。

ここではN BOX+カスタムのNAモデルを紹介する。

ベースとなったのはN BOXそのもの。しかし軽自動車最大の後席ひざ回り空間(身長172cmのドライバー基準でタント+10mmの410mm)を実現したパッケージをアレンジ。後席を215mm前だしし、荷室空間をさらに広げ、まさに懐かしいクリエーティブムーバーと呼べるアイデアを盛り込んだのである。

そのハイライトがN BOXの215mm増しとなる630mmもの奥行きを持つ荷室。その後端を後ろ向きスロープにして、世界の乗用車の中でもっとも低い地上330mmというフロア後端高を実現(N BOXは490mm)。そこにOPの3段階スライド式アルミ製スロープ(耐荷重200kg、内幅640mm、後部張り出し量1470mm、角度12度)を設置できるのだ。ただし、車いす用ではない。車いす用の車両は後に控えていて、これは自転車や愛犬、除雪機などを乗せるための一般ユーザー向けのスロープなのである(後付けで車いす仕様にもなる)。

さらに荷室は標準装備される3枚のボードによって上下2段で使え、荷室の収納力はもう抜群。下段には台車やポリタンク、アウトドアの汚れ物などが入り、手前にスロープ状の傾斜があるものの、立ったエンドボードがあるため荷物が手前にズレ落ちることがない賢い仕立てである。

アウトドアではもちろん、災害時などでも威力を発揮する車中泊性能も抜群だ。なにしろ後席を倒し、荷室部分のボードとフラット化すれば、ニトリで売っている約2000×1000mmの6つ折りマットレスがジャストサイズで敷けるのだ。荷物はボードの下段に収納できるからよく考えられている!AC100V/100Wのコンセントも取り付け可能だから、ちょっとした電化製品の仕様も可能。

そう、レジャーから介護まで、末長く付き合える!?クルマなのである。

シートが前寄りになった後席の居住性も悪くない。ホンダは「フィット同等」と言うが、実際にはやや狭い。後席ひざ回り空間は身長172cmのボクのドラポジ基準でフィット210mm、N BOX+170mmである。それでも十分な広さである。もちろん、スライドドアからの乗降性も軽自動車最上級のままである。

もし、気にすべき点があるとしたら、荷室フロアをさらに低くしたことでより大きくなったバックドアの後部張り出し量(+250mm)ぐらいだろう。壁際にバックして停めた場合、相当前寄りに停めないと開けられないシーンもあるはずだ。

そんなN BOX+は基本的な部分でも進化している。例えば手作業でルーフを塗り分けているという2トーンカラーが選べるようになり、N BOXではカスタムのみに設定されていたターボモデルが標準車でも選べるようになったことなどだ。

走りの面では全車にスタビライザーが装着され、標準車のタイヤが13インチから14インチに。ターボ車のタイヤが15インチから14インチに履き替えられたことで全車の乗り心地が向上。カスタムのNAモデルの場合、よりしっかりしたストローク感あるタッチに進化していた。

お薦めはターボモデルの2トーンカラー。ルーフ、ホイールが白塗りになり、かなりオシャレ。そしてN BOXより50~70kg前後重くなっているため、長距離走行、フル乗車を含めた用途ではターボの余裕がほしいところ。NAモデルの動力性能はギリギリ、街乗り限定といったところだ。

N BOX+は中大型犬の飼い主にも最高である。犬は人間の数倍のスピードで歳をとり、今は元気でもやがて足腰が弱くなる。特に大型犬は介助するのが大変だが、N BOX+にスロープを付ければ安心だ。車中泊対応、車いす対応を含め、N BOX+はまさに”備えあれば憂いなし”のクルマでもある。ホンダのアイデアには本当に頭が下がる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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