マツダの新世代エコテクノロジー群「SKYACTIV(スカイアクティブ)」が投入された新型ミドルクラスSUV『CX-5』。発表会翌日の2月18日、東京都心でマスメディア向けの試乗会が行われた。
用意された試乗車はすべて新型ガソリンエンジン「スカイアクティブ-G」搭載モデルで、駆動方式はFWD(前輪駆動)とAWD(四輪駆動)の2種類。マツダはCX-5の事前キャンペーンでもっぱらクリーンディーゼルを宣伝していた。そのこともあって、ガソリンモデルへの注目度は相対的に低かったのだが、試乗してみると、そのガソリンモデルが望外の素晴らしさであった。
試乗車は2WD。試乗コースは東京プリンスホテルからお台場、潮風公園までの10km。車両の撮影を行うということで、ごく短時間の試乗ではあったが、序盤は信号2回待ちのようなきつい渋滞が連続する区間、後半はレインボーブリッジの結構きついアップダウンと、そこそこバリエーション豊かな走行環境だった。
最初に驚かされたのは、序盤の渋滞区間での燃費の良さだった。CX-5は全グレードにアイドルストップ機構「i-stop」が装備されており、停止時の燃料消費はセーブされる。が、この時の信号待ちは相当長く、途中でバッテリーに給電するためにエンジンが再始動してしまうこともあった。全幅1840mmという大柄なボディを考慮すると、アイドルストップ付きとはいえリッター6km台かと思うような状況だった。
にもかかわらず、渋滞区間での燃費は実に11.2km/リットルをマーク。渋滞時の変速機の制御が絶妙で、瞬間燃費計をチラチラ観察すると、時速20km程度でもクルーズ状態に入ると30km/リットルくらいに跳ね上がる。エンジンの回転数の低いところを積極的に活用するようセッティングされていることがうかがえた。また加速時も、思ったより加速しないでスロットルを踏み足したり、逆に予想以上にスピードが乗ってスロットルを緩めたりといったことが少なく、楽にエコドライブができたことも燃費の良さにつながっているものと思われた。
そのドライバビリティの良さはレインボーブリッジの長い登り区間でも生きた。速度のブレなく登り坂を走れるチューニングというのはクルマにとっては意外にハードルが高く、SUVやハイブリッドがとりわけ苦手としている項目なのだが、CX-5は驚くことに、スロットルペダルをじわりと踏み込んで加速し、狙った車速に到達した時点でそれ以上加速しないところまでスロットルを抜いてやると、そのまま一定速度でスイスイと登っていくのだ。
レインボーブリッジから潮風公園までの区間では渋滞がなかったこともあって平均燃費計の値もどんどん伸び、ゴール時には14.1km/リットルに達した。JC08モード走行時で16km/リットルという公称燃費も良好だが、実走燃費のインパクトはそれ以上だ。
ミドルクラスSUVのライバルと比較しても優位性は大きいものと思われる。また省燃費走行をあまり神経を尖らせず、ストレスフリーで気軽に行えるというドライバビリティの高さも出色だった。ディーラーで試乗する際には、こうした特性を積極的に味わってみるのも一興だろう。