事前に他のジャーナリストのインプレッションをFacebookで見ていたので、ボクなりに「傾向と対策」を考えつつ試乗に臨んだ。が、走り始めたら、すべて忘れました。もう、いいじゃない、理屈抜きで遊ぼうよ…って、そんな感じ。こんなに楽しい「大人のオモチャ」は他にない(あ、ちなみに筆者はまだ『86』に乗っていないので……)。
そうは言いつつ、この感動を多少の理屈で説明すれば、つまりは「見たままの走り」だということ。水平対向エンジンを低く積んで低重心……と、これは言われなくてもカタチを見ればわかる。スライドレールをフロアに直付けしたヒップポイントの低いシートに座れば、なおさらだ。そして走り始めれば……はい、その通り。ボクの運転スキルでも、グイグイとアクセルを踏み込める。後輪が少しぐらいスライドしたって、な〜んともない。
ひとつだけ気になったのは音だ。エンジンの吸気量に応じて吸気音を増幅する装置があり、それがドライバー席の足元につながっている。おかげでアクセルを深く踏み込むと勇ましい吸気音が室内に響くのだが、そういうクルマだっけ? 『BRZ』のデザインは86より落ち着いた大人の味わいだし、乗れば想像以上にしなやか。もしもボクがBRZを買ったら、この吸気音増幅装置にグラスウールを詰めて遮音してやろうかな。そんな妄想を抱くこと自体、すでにBRZに魅せられている証拠ですが……。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
千葉匠|デザインジャーナリスト/AJAJ理事
デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。