【EVバッテリー レポート2011-12 vol.4】自動車メーカー各社が最重要視するバッテリー技術…オートモーティブワールドの取材から

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フォルクスワーゲン ルドルフ・クレブス副社長の基調講演のようす(オートモーティブワールド12)
  • フォルクスワーゲン ルドルフ・クレブス副社長の基調講演のようす(オートモーティブワールド12)
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  • フォルクスワーゲン ルドルフ・クレブス副社長の基調講演のようす(オートモーティブワールド12)
  • フォード グローバル車両電気化事業部門 ナンシー・ジョイア氏の基調講演(オートモーティブワールド12)
  • フォード グローバル車両電気化事業部門 ナンシー・ジョイア氏の基調講演(オートモーティブワールド12)
  • フォード グローバル車両電気化事業部門 ナンシー・ジョイア氏の基調講演(オートモーティブワールド12)
◆2012年はEV本格普及の幕開けの年

 昨年12月に開催された東京モーターショー、また年初のデトロイトやデリーなどのショーでもEVのコンセプトカーが相次いで登場し、各社・各市場でのEV普及に向けたロードマップも明らかにされた。さらに、この1月18日から20日にかけて東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド」では、将来性のあるEVの要素技術が多数展示された。今回はこれらのイベント取材から、2012年のEV開発の方向性を読み取っていきたい。


◆官民一体のEV普及施策が不可欠

 オートモーティブワールドの基調講演で壇上に立った米国フォードモーターのグローバル車両電気化事業ディレクターを務めるナンシー・ジョイア氏は、「ハイブリッドやEVなどを含めた電動化車両の生産割合は2020年には全体の10~25%になる」と語る。政府や自治体などが購入補助金や専用レーンなど積極的な優遇措置をとることで、さらなる普及を期待すると発言。

 また、フォルクスワーゲンAGでeモビリティ戦略を担当するルドルフ・クレブス副社長は、「EVはクリーンエネルギー、とくに再生可能エネルギーを使って初めて意味のあるものになると言えます。その推進のためにも自動車業界はエネルギー生産者、政治家、投資家などと協力しあうことが強く求められると考えています」と、官民一体となった取り組みが不可欠であり、そういう取り組みがなされて初めてクリーンなモビリティが実現できると述べる。


◆バッテリー技術のイノベーションが鍵を握る

 クレブス副社長は、現状ではEV普及における障壁の多くは「バッテリー技術に起因している」と断言。バッテリーのイノベーションがEV普及にとって当面の主要課題であると位置づけている。

 EVの開発に携わるエンジニアにおいても、その課題意識は同じだ。ホンダの電気自動車『フィットEV』開発エンジニアである木村顕一郎氏によれば、同車のコンセプトは『超次元Eドライブの走り』『電気を賢く使う』『時間を賢く使う』という3つの要素からなっていると説明。「EVであることを超越した楽しさを持つクルマであることが第一。それに加えて、世界でも評価されている日本の“もったいない文化”を体現する、電気や時間を賢く使うための工夫も盛り込みました」と語る。

 同車が世界でトップクラスの電費性能を実現できたことについて高性能バッテリーが重要な役割を果たしていると説明。「様々な電池を試した結果、回生受入性、耐久性などが圧倒的に優れていた東芝のSCiB(チタン酸リチウムイオン電池)を採用したが、われわれはさらにバッテリーをどのようにマネジメントすればいいか工夫を重ねた」という。

 そのSCiBは2010年末にホンダが二輪EV『EV-neo』を皮切りに、三菱自動車『i-MiEV M』、『MINICAB-MiEV 10.5kWh』、ホンダ『フィットEV』で採用されており、自動車用途以外にも、その採用例は急増している。


◆バッテリー性能がEV選定の基準になる可能性

 とりわけEV分野で急に東芝が頭角を現したのは、SCiBが他のリチウムイオン電池にない特性を持っているからだ。まずは耐久性。東芝はSCiBの寿命について、空から満充電までの深充放電を4000回繰り返しても初期性能の9割を維持できるとしている。これはリチウムイオン電池のなかでもケタ外れの数字で、仮に航続距離200kmのEVを2日に1回充電する場合、寿命は実に20年以上ということになる。

 東芝のSCiBビジネスの技監 本多啓三氏は、「あえて言えば、EVのバッテリーは高価な部品です。そのEVを普及商品にするためには、クルマが廃車になるまでバッテリー交換不要というのは前提条件です。(中略)耐久性はまさにEV普及のひとつのカギだと思います」と述べる。SCiBは低温環境下での特性や安全性など数多くの特長を持つが、とくに繰り返し充電と大電力の出し入れに対応しうる耐久性については他の追随を許さない。

 バッテリーの耐久性が向上すれば、充電インフラが活用される機会はより増え、さらにモーターやインバーターの設計自由度も向上する。実際、EVマネジメントするテクノロジーやシステムも着実に進化を遂げつつある。たとえば明電舎は、小型軽量化を実現しながら3種類の定格出力に対応した次世代モーター・インバーターを提案。また秋山製作所はモーター用の中空構造の軽量シャフトを出展した。

 2011年まではEVが各社から登場しその可能性を見いだした“黎明期フェーズ”であるならば、2012年からは本格的な普及に向けたフェーズに入ったといえる。とりわけバッテリーの進化は著しく、数年前までは難しいと言われていた急速充電に対する耐久性も飛躍的に向上した。車両メーカーにおいては、カタログスペックのみならず、回生特性や耐久性といった数値で計ることが難しかった性能が重視されるようになり、さらに消費者においてはEV選びの際にバッテリーがひとつの基準になる可能性もでてきた。
《レスポンス編集部》

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