『S60』&『V60』は、アルファロメオ『156』の現代版だ、というのが持論。ほどよいサイズで、ほどよくスポーティ、そして何より誰がみても格好いい。その分かりやすさと、ボルボというブランドのポジションの取り合わせが絶妙で、ハズシの美学さえ感じられる。最近では、まわりの好き者たちの“何かいいクルマない?”という乱暴な質問に、このクルマの名を返すことにしているほどだ。
特に、ワゴンのV60が格好いい。エアロデッキである。こんなに見栄えのいいミッドサイズワゴンはほかにないと思う。インテリアの朗らかさにも気持ちが踊る。内外のデザイン性の高さもさることながら、走りの方はといえば昔ながらのドイツ車風骨太テイストで、多くの輸入車好きを満足させることができるはず。
ドイツ車と比べれば、コストパフォーマンスに優れる。それでいて走りに遜色ナシ。密度濃く弾丸のようにかっ飛ぶ上級グレードは要らない。デュアルクラッチミッションの「DRIVe」がベストチョイスで、ボルボらしく平和で快適なドライブが楽しめる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。