【新聞ウォッチ】本田宗一郎氏も「草葉の陰で…」長男は実刑、子会社は不正取引

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2011年1月28日付

●日本国債格下げ、8年9か月ぶり、財政悪化を懸念(読売・1面)

●日産、ホンダ抜く、世界販売、国内勢2位(読売・2面)

●「無限」社長実刑確定へ(読売・38面)

●豪雪 基幹国道も封鎖、国交省、除雪優先に転換(朝日・1面)

●国内自動車大手、昨年は生産好調、エコ補助終了後、陰り(朝日・11面)

●菅政権袋小路、公明「公約修正なら解散を」(毎日・1面)

●「特許侵害」三洋電機、シャープを提訴(産経・10面)

●ホンダ営業益2倍、4〜12月、新興国・北米が好調(日経・1面)

●NEC、レノボに2%出資、合弁発表(日経・3面)

●現代自、純利益78%増、前期、「質的成長へ戦略転換」(日経・9面)

●昨年の自動車販売、ホンダ、初の日中逆転、中国依存が鮮明に(日経・11面)

ひとくちコメント

きょうの各紙の社会面では「本田被告、実刑確実へ」という見出しが目を引く。「本田」と言っても、サッカー・アジア・カップ日本代表のエースとして活躍している本田圭佑選手のことではない。ホンダ創業者の故本田宗一郎氏の長男で、エンジンメーカー「無限」(埼玉県朝霞市)の社長として法人税法違反の罪に問われた本田博俊被告のことである。

最高裁第一小法廷が、その本田被告と無限の元監査役の広川則男被告に対し、法人としての同社の上告をいずれも棄却する決定をしたという。その結果、本田被告を懲役2年の実刑、広川被告を懲役3年の実刑、同社については罰金2億4000万円とした二審判決が確定することになる。

記事によると、本田被告は「脱税は、元監査役が自ら仕組んだ詐欺事件を隠すために社員らに不正な会計処理をさせたものだ」と無罪を主張。2006年5月の一審・さいたま地裁判決は本田被告の共謀を認めず無罪としたが、二審・東京高裁は07年9月、「主導したのは広川被告だが、将来の相続税にあてる資金を確保するため、不正な会計処理を了承していた」として共謀を認め、逆転有罪判決を言い渡していた、と伝えている。

一方、1970年代に本田宗一郎氏が肝煎りで始めた水産物取引では子会社の商社「ホンダトレーディング」が冷凍のシラスやエビを市場価格を大幅に上回る価格で購入し、売り戻すといった手口で収益を過大計上するという不適切な取引が発覚。ホンダは在庫品の価値の見直しや取引先からの債権回収が困難になった影響で、2011年3月期に約150億円の損失を計上するという。

宗一郎氏の語録の中には「石橋だと分かれば叩かずに、どんどん渡っちゃう」という名言がある。その破天荒な経営ぶりがホンダの成長エンジンにもなっていたが、長男の実刑といい、子会社の不正取引といい、宗一郎氏にも不名誉な“暴走”行為を黙認するだけの度量の広さは持ち合わせてはいなかったはずである。この体たらくぶりをみていると、没後20年になっても、草葉の陰からオヤジの鋭いゲンコツが飛んできそうな気がしてならない。

《福田俊之》

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