三菱自動車は5日、軽ワゴンの『タウンボックス』にキャンピングカー仕様の特装車「タウンボックスキャンパー」を設定、全国の三菱販売店での取り扱いを開始した。車中泊ブームを受け、気軽に購入できると人気が高まりつつある「軽キャンパー」市場に本格参入する。
タウンボックスキャンパーの大きな特徴は、本格的なポップアップルーフの採用。ルーフを開くことで室内高は最大2170mmまで拡大。楽に立ち上がることができ、着替えにも便利だ。手動式のルーフはガスダンパーを装着しているため、力をかけずに開閉することができる。
また、リアシートを倒すことでフルフラットな荷室を確保できるベース車の長所を活かし、分割式のベッドマットを敷くことで2名が快適に就寝できるスペースを実現した。さらに、ギャレー機能と300Wの電化製品を使用可能なサブバッテリーやコンセントをパッケージした「ギャレー&シンク」、収納スペース付きの「テーブルカウンター」をオプション設定し、軽自動車でありながら本格的なキャンピングカーと遜色の無い装備を実現している。
商品開発を手掛けた三菱自動車カーライフプロダクツ特装企画部の浅田国英氏は、「三菱ならではのインパクトがほしかったのでポップアップルーフを採用しましたが、気軽に楽しんでもらうためにも、価格を抑える必要がありました」と語る。
「そこで、ドアミラーやドアハンドルなど、細かい部分を簡素化することでベース車の価格を下げ、フル装備でも236万円程度とお求めやすい価格を実現しました。また、ポップアップルーフをはじめ主要装備をオプションとすることで、価格を含め、お客様それぞれのニーズに対応していこうと考えました」(浅田氏)
また三菱のディーラー車として販売することで、保証の面でも安心感を提供する。タウンボックスキャンパーは他の三菱車と同様、車両本体については「10年10万km保証」の対象となるほか、架装部分についても「1年2万km」の保証の対象となるため、改造キャンパーや他メーカー車と比べてもより安心して購入できるという。
浅田氏は、「イベントなどを通じて三菱の軽キャンパーをアピールしていきたい。販売目標は2010年度で100台を見込んでいますが、1台でも多く売っていきたいと思っています」と抱負を語る。
5月にはスバルが同様に軽バン『サンバー』をベースとした軽キャンパー「旅人」を、ホンダからは7月にアウトドア志向のミニバン『フリードスパイク』が発売されるなど、車中泊ブームを受け、各メーカーはアウトドア市場への本格的な参入を開始している。低迷する自動車業界の起爆剤となることができるか、要注目だ。