気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2010年6月21日付
●消費税上げ、軽減税率や還付前提、首相、低所得者に配慮(読売・1面)
●中国向け輸出追い風、人民元切り上げへ、権益交渉では不利に(読売・7面)
●内閣支持下落50%、首相消費税発言「評価せず」半数 世論調査参院選(朝日・1面)
●エコで勝負、消費電力30%減の店舗、オートバックス(毎日・9面)
●希少資源獲得へ総力戦、日本の探査数過去最高(産経・1面)
●ITで70兆円新市場、政府が30施策工程表(日経・1面)
●帝人車向け酸素繊維、車体6割軽く、年内にも量産(日経・1面)
●社説:海外に逃げる自動車の生産(日経・2面)
●高性能消防車ベトナムで販売、モリタHD(日経・9面)
ひとくちコメント
強豪オランダに0-1で敗れたものの、25日早朝(日本時間)のデンマーク戦で勝つか引き分ければ、日本は決勝トーナメント進出が決まる。この週末もサッカーのワールドカップ(W杯)熱が一気にヒートアップしたが、そんな中、隣国の中国では、中央銀行にあたる中国人民銀行が「人民元為替レートの弾力性を強める」とする声明を発表。
中国政府は今回の声明を機に、2008年夏から続けてきた1ドル=6.83元前後での相場固定を解除。金融危機で先送りしていた国内の産業構造の転換に本腰を入れる方針とみられる。
20日の各紙朝刊は、1面トップで「日本、オランダに惜敗」とカラー写真付きで報じたが、その左横には「人民元切り上げへ」と大きな見出しが紙面を飾った。
きょうの各紙も「人民元切り上げ」関連の記事が目立つ。朝日と日経は「社説」のテーマにもなっている。
読売は、中国が、人民元の切り上げ再開に向けた談話を発表したことについて「日本の産業界などからは期待と懸念の声が交錯した」として、鉄鋼業界は、中国勢の輸出競争力が落ちると予測し「日本勢にとって追い風になる」と好感するなどと伝えている。
日経は週明けの東京株式市場について、元切り上げを受けた円相場の対ドルでの上昇が長期化すれば企業業績や日本株に悪影響が出る懸念もあるとする半面、元高が日本株上昇につながるとみる向きもあるとしている。通貨高で中国の実質的な購買力が高まり、日本への中国人旅行客がさらに増加し、小売業界にメリットをもたらす可能性があるほか、中国向けに日用品などを輸出している企業にも追い風になるというのが理由。
人民元の上昇はかなり小幅にとどまる可能性が高いとの見方もあるが、中国の通貨政策は、日本経済にもさまざまな影響を及ぼすだけに、ワールドカップ観戦のような気持ちで一喜一憂するわけにはいかず、実際にどう動くのかを慎重に見守る必要がある。