PSAプジョー・シトロエンとフィアットが共同開発し、シトロエンが欧州で販売中の商用車、『ニモ』(NEMO)。4月末に英国の消費者情報誌、『Which?』が行った緊急回避テストにおいて、ニモが横転した。ニモはPSAとフィアットが共同開発した商用車。シトロエン版はニモ、プジョー版は『ビッパーティピー』、フィアット版は『フィオリーノ』を名乗る。欧州では2007年末から販売されており、生産はフィアットとトルコのコチ社との合弁会社、トファスが担当する。英国の消費者情報誌、『Which?』は4月末、これら3台に同誌恒例の「エルクテスト」を実施。このテストは80km/hで走行中、鹿が飛び出してきたとの想定で行うもので、緊急回避操作(ダブルレーンチェンジ)によって、障害物を避けるというものだ。テストには、ドイツ最大の自動車クラブ、ADAC(日本のJAFに相当)も参画している。最初にテストを受けたのは、フィアットのフィオリーノ。オプションの横滑り防止装置、ESC(エレクトロニック・スタビリティ・コントロール=VSCと同じ)を装着していた。そして、フィオリーノは難なくテストをパスした。ところが続くシトロエンのニモが、左右に急ハンドルを切ったところ、車両がバランスを崩し、横転。ニモには、ESCの設定自体がなかったのだ。プジョーのビッパーティピーも同様に、ESCが未設定。同誌はビッパーティピーに対するエルクテストを、テスターの安全性に配慮し中止した。念のため、同誌はフィアットのフィオリーノで、速度を90km/hに上げて再テスト。しかし、車両には何の不具合も発生しなかった。同誌のテストを受け、PSAは「7月販売分から、ニモとビッパーティピーのディーゼル車にESCを標準装備する」と発表。さらに、「ガソリンエンジン車についても、できるだけ早期にESCを組み込む」と、素早い対応を見せた。『Which?』誌はエルクテストの映像を、動画共有サイトで公開している。
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