【池原照雄の単眼複眼】「収益力」に再挑戦…富士重工、次期中計は中国が課題

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北京モーターショーでは森社長自らがプレスカンファレンスを行い、中国市場にアピール
  • 北京モーターショーでは森社長自らがプレスカンファレンスを行い、中国市場にアピール
  • 7日に行われた決算会見での森郁夫社長
  • レガシィは北米での販売拡大に大きく貢献した(写真は国内仕様)
  • ルクラはダイハツ・タントエグゼのOEM車
  • フォレスター
  • インプレッサ
◆営業利益率は定常的に8%以上

富士重工業(スバル)の森郁夫社長は7日の決算発表の席上、2011年度から取り組む次期中期計画の「ビジョン」として「営業利益率8%以上の定常的な確保」を掲げた。今年度が最終となる現行の中期計画(07 - 10年度)は世界的な金融危機の影響を受けて未達が必至。

だが、前期の第4四半期(1 - 3月期)で過去最高の営業利益を確保したこともあって、「スバルらしさの追求」などを目指した「中計の方向性は正しかった」(森社長)と手ごたえを感じている。次期中計では高い目標を掲げ、「収益力」の底上げに再挑戦する。

次期中計は今年度末までに策定する予定であり、森社長は今回、ビジョンの骨格として売上高営業利益率8%以上など、収益力指標のみを提示した。森社長の就任翌年度からスタートした現行の中計では、最終の今年度に営業利益800億円、同利益率5%を目標としてきた。

しかし、金融危機の直撃で08年度は赤字に転落。今年度の業績予想では営業利益が430億円、同利益率は2.9%と、大幅にショートする。


◆「らしさ」追求でブランド力は着実に向上

もっとも、この間に全面改良して投入した『インプレッサ』、『フォレスター』、『レガシィ』の中核3モデルは、主力市場の北米で販売シェアを伸ばす原動力となった。森社長が方向性は妥当だったと自己評価するのは、「らしさ」の追求によってブランド力が着実に向上しているからだ。

それは北米だけでなく、中国などでも同様だ。中国向けは日本からの輸出のみなので高関税のハンディがあるが、09年度の販売は9割近く伸びた。海外販売の好調を受け、前期の第4四半期は世界販売が16万台強、営業利益は235億円と四半期ベースではいずれも過去最高となった。


◆中国には迷うことなく「乗り込む」しか…

ただし、同四半期での営業利益率は5.6%。過去5年の最高は3.9%(06年3月期)にとどまり、次期中計で掲げる計画の8%は極めて高いハードルとなる。達成には収益基盤の弱い国内のテコ入れや、成長する中国市場への対応など課題は山積する。

国内は販売網の再編や統括会社による広域管理体制といった施策で徐々に体質改善が進んでいる。また、軽自動車事業もダイハツ工業からのOEMへの切り替えが本格化、「登録車強化による収益力向上」(森社長)への道筋がついてきた。

一方、中国では懸案の現地生産について今年中には結論を出す。現状では「日本製スバル車」ゆえのプレミアムから高い収益が確保されているだけに、悩ましいところだ。しかし、世界最大の市場に足場を築けないようだと中長期の成長力は削がれる。ここは迷うことなく乗り込むしかない。
《池原照雄》

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