【メルセデスベンツ E350 ブルーテック ワゴン 試乗】高速巡航で真価…千葉匠

試乗記 輸入車
E350 ブルーテック ステーションワゴン
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100km/hでのエンジン回転数は1550rpm。トルクの太いディーゼルならではのハイギヤードは燃費だけでなく静粛性にも大きく寄与する。高速巡航のなんと快適なことか!

加速時にはガソリン車より「鼓動の強さ」を感じるが、それも好ましい味わいと思わせてくれるのは、さすがメルセデスのディーゼルである。

『E350ブルーテックステーションワゴン』。3リットルのV6は先代の「E320 CDI」と基本的に同じだが、尿素SCR(選択還元型触媒)の採用などで日本のポスト新長期排ガス規制をクリアした。窒素酸化物(NOx)を減らすために燃焼温度を下げるとPM(粒子状物質)が増えるし燃費も悪くなる。燃焼効率を高め、PMを減らしながら、NOxを尿素SCRで還元して無害な窒素と水に変えるというのが「ブルーテック」の原理だ。

SCRに噴射する尿素水(商品名アドブルー)のタンクは荷室床下のスペアタイヤ・スペースに納められ、ワゴンの売りである積載性をしっかり確保。タンク容量は24リットルで、1000kmの走行で1リットル消費する程度だから、年に一度の点検時に補充してもらえばよい。同様の尿素SCRを使う大型トラックは給油3回につき一度アドブルーを補充する目安で、それに比べてE350ブルーテックはユーザーの負担が非常に小さいのも特徴と言える。

なお、大型トラックではアドブルーのタンクに水などを入れて「水増し」するとセンサーが働き、エンジンを再始動できなくするが、E350ブルーテックは原則的にユーザーが自分の手でアドブルーを補充しないため、そういうセンサーはあえて設けていない。

短時間の試乗で燃費は参考程度だが、フラットな高速道路が7割、アップダウンの多い一般道が3割という条件で11km/リットルを少し超えた。高速道路を坦々と走る状況なら13km/リットル台は確実だろう。低回転域だろうとちょいと右足に力を込めれば図太いトルクが得られ、しかもエコドライブできるというのはやっぱり嬉しい。

ひとつだけハンデを挙げれば、ワインディングで鼻の重さ(=エンジンの重さ)を感じること。いや、同じ試乗会で直4の1.8リットルターボを積むE250 CGI ブルーエフィシェンシーにも乗ったからこそ、そこに気づいたのだけれど……。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーのデザインジャー ナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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