大矢アキオ『喰いすぎ注意』…スカイラインスポーツな爪楊枝

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生ハムとサーモンのアンティパスト
  • 生ハムとサーモンのアンティパスト
  • 焼き鳥は、天ぷらと並びイタリア人が無理なく食べられる和食
  • SAMURAIとKIMONO
  • サムライ。2代目ジムニーをベースにしていた
  • SAYONARAとOSAKA
  • こちらはKOBE
  • 日本のホテルで発見
  • 隣国オーストリアで。プレッツェルで気合を入れる筆者

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オリエンタルすぎる!

さて、イタリアもクリスマス、新年と、パーティーシーズンである。まさにこのコラムのタイトルどおり「喰いすぎ注意」の季節だ。

この時期の料理に活躍するのは、ずばり爪楊枝や串である。イタリア料理のアンティパスト(前菜)では、立食でも気軽につまめるよう、楊枝にサラミやハム、野菜、チーズ、オリーブを刺す。また我が家でイタリア人が意外にも喜ぶ「焼き鳥」を作るとき、串は必需品だ。

楊枝に関していえば、日本のものと違う点は、「両端が尖っていること」である。したがって、日本の楊枝の要領で使うと、指に刺さって痛い。しかしロールキャベツなど、調理したあとに抜く必要があるとき、片側だけよりもスッと抜けて楽ちんなことは確かだ。

ついでにいうと、根拠は定かでないが「衛生万全」と謳っている商品もみられる。また生産地については、「Made in EU」という表示がなされていることが多い。おそらく東欧産であろうが、それに対する「安物」という既成概念を避けるため、敢えてグレーゾーン的表示にしているのだろう。

しかしそれ以上に、イタリアで売られているこうした楊枝や串には、ひとつの特徴がある。「SAMURAI」「KIMONO」「SAYONARA」など、日本語ネームが大半を占めているのだ。

その素材感や、突き刺すという仕草から日本刀を想像するためだろう。クルマ好きの目からすれば、「SAMURAI」という言葉の普及には、黒澤映画とともにスズキ『サムライ』(スペイン・サンタナモーター製『ジムニー』)も、ひと役買ったのかもしれない。

地名ものでは「OSAKA」「KYOTO」と、なぜか60ヘルツ地域が強い。直近で見つけたのも「KOBE」だ。

イラストもイカす。女性の目は大抵、プリンス『スカイライン・スポーツ』のごとく吊り上っている。オリエンタルすぎるところが笑える。

写真でみると、「SAMURAI」や「KOBE」のイラストを担当した人は、参考資料なしに自分のイメージを膨らませた人に違いない。百歩譲って好意的に見るならば、「KOBE」はイタリアで上演されるオペラ「蝶々夫人」で歌手たちがまとう摩訶不思議なキモノを見てしまった、と推察することもできる。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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