「女性が一目置くクルマだ」。私が『マークX』に試乗して実感したことだが、そう言うと不思議に思う人は多いかもしれない。マークXのターゲットは、まぎれもなく男性ではないか、と。私がこの実感に至るには、いくつかの驚きがあった。まずは、運転席に乗り込みシートポジションの上下前後を合わせた時だ。前方視界がことのほかタイトで、ルームミラーが邪魔に思えるほど。これはトヨタのセダンでは稀な経験で、男性の体格をより重視していることを窺わせた。次に、エンジンをかけて発進しようとした時だ。昨今は「ふんわりアクセル・eスタート」がクセになっており、その感覚でペダルを踏んだ。が、あまり反応がなく前に進んでくれない。「おや?」と思って再度、心もち強めにペダルを踏むと、ようやく反応があった。つま先に感じるこの硬さ、これも最近では珍しいものだ。そしてさらに、富士周辺のワインディングで感じた、久々に手応えのあるハンドリング。4輪がガシッと路面に食いつき、その入力がダイレクトに手元に返ってくる。時にはこちらの腕力が負けて、センターラインからはみ出しそうになったほどだ。ハッキリ言って最近は、どんなに高級なクルマでも、スポーツを売りにするクルマでも、女性だからといって運転に苦難を感じることはまず無くなっている。パワーが数百馬力だろうが、最高速度が数百km/hだろうが、軽自動車と変わらず普通に運転できるものだ。これは快適な反面、本当の実力がわからずじまいだし、ありがたみも薄まる。ところがマークXは、久々に「これは手強いぞ」と感じさせてくれた。プラットフォームもエンジンもレクサス『IS』と共通になったが、ISにはそこまで感じなかった。明らかにマークX独自の哲学が、ビシッと1本通っている硬派なクルマだ。だから私は、これをサラリと操る男性がいたら、一目置くにちがいない。■5つ星評価パッケージング:★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★(男性に限り)まるも亜希子|カーライフジャーナリスト大学在学中に声優デビュー、卒業後は自動車専門誌で編集者を務める。2003年、カーライフ・ジャーナリストとして独立し、雑誌、ウェブ、ラジオ、CS、イベントへの出演等を軸に活動中。2004年、2005年には、サハラ砂漠2500kmを走破する女性だけのラリーに挑戦し、日本人チームとして初めて完走。現在、ニッポン放送『DRIVE with ECO&DREAM』レギュラー出演中。
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