事前説明を聞いていて「!?」と感じたのが、「フロントのロールセンターを下げた」という点。最初は重心高が上がったことで、相対的にロールセンターが下がったことを指しているのかと思ったのだが、そうではない。ちなみに新型は従来型に比べ40mm車高が上がったが、重心高は10mmしか上がっていないらしい。
ロールセンターを下げると、ロールモーメントが増え、コーナリングの限界は下がるのだが、フロントのロールセンターを下げると回頭性は上がるという面もある。『ステップワゴン』のようなミニバンで、なぜそうするのかと感じたのだが、それは転舵時のリニアリティを求めてとのことだ。
従来はリアに対してフロントが高い、前上がりのロール軸に設定されていた。おかげでコーナリングの限界性能の高さは、およそミニバンとは思えないものとなり、それはそれで魅力ではあった。
しかし、新型ではロールセンター高を前後ほぼ同じ高さにしたとのこと。あくまでミニバンに相応しく、市街地で普通に走ったときの良好なフィーリングを追求したとのことで、実際そのとおりになっていた。
4代目ステップワゴンがミニバンとしての本質を追求し原点回帰を図ったという姿勢は、そうしたあたりにも表れているのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県生まれ。学習院大学卒業後、自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジン、自動車専門誌の記者を経て、フリーランスとして活動を開始。最新モデルからヒストリックカー、カスタマイズ事情からモータースポーツ、軽自動車から輸入高級車まで、幅広い守備範囲を自負する。現在は WEB媒体を中心に執筆中。「プロのクルマ好き」としての見地から、読者にとって役に立つ情報を提供できるよう心がけている。