今回のモデルチェンジで一気にハイテク化を推し進めたのが新型『ランドクルーザー プラド』の特徴だ。
フルフレーム構造、フルタイム4WD、2.7リットル4気筒と4リットルV6のエンジンを旧型から引き継ぎながら、油圧制御でスタビライザーの効きを調節するKDSS(キネティックダイナミックサスペンションシステム)、アクセルやブレーキの操作なしに急坂を上り下りできるクロールコントロールを兄貴の『ランドクルーザー200』から譲り受け、ロックやモーグルなど4つのモードに合った駆動力制御を行うマルチテレインセレクトも採用している。
でもこれらのハイテクをフル装備したV6より、なにもついていない4気筒のほうがバランスは上だった。ステアリングの反応はおっとりだし、ロールはするし、ATはいまだ4速だし、乗り心地はゴツゴツ感が残るけれど、加速に不満はなく、ハンドリングは予想以上に素直。
なにより乗用車っぽいSUVが多数派になったからこそ、路上で建設機械を転がすようなヘビーデューティ感覚が快感だ。開発者はBMW『X5』を目標としたそうだが、そもそもこちらが本家なのだから、亜流なんかに影響されずランクル道を極めてほしい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
試乗会以外でヨーロッパに足を運ぶことも多く、自動車以外を含めた欧州の交通事情にも精通している。雑誌、インターネット、ラジオなどさまざまなメディアで活動中。著書に『クルマ社会のリ・デザイン』(共著)など。