フォルクスワーゲングループと米スタンフォード大学は、未来のモビリティを研究する「VWオートモーティブイノベーションラボ」(VAIL)の新施設建設を発表。VAILの最新成果として、VW傘下のアウディ『TTS』が無人走行する様子を収めた映像を、動画共有サイトで公開した。
VAILは未来のモビリティを研究開発する機関として、フォルクスワーゲングループとスタンフォード大学が共同設立。すでに人工知能を備えた100%コンピューター制御の完全自律走行車の開発に成功している。
このロボットカーは、米国国防省主催の「DARPAアーバンチャレンジ」において、『トゥアレグ』が2005年に優勝、『パサートヴァリアント』が2007年に2位という快挙を成し遂げている。
今回、フォルクスワーゲングループとスタンフォード大学は、アウディのスポーツモデル、TTSを完全自律走行車に改造。その実験映像を公開した。
アウディTTSは、直噴2.0リットル直4ターボ「TFSI」を搭載。最大出力272ps、最大トルク35.7kgmを発生する。TTSのロボットカーは実験段階のため、助手席にはコンピューターを手にした学生が乗り込んでいるが、ステアリングホイールの操舵など、自動で行われている様子が確認できる。一面の大平原が広がるソルトレークで、「フォーシルバーリングス」の走行軌跡を描く様子は圧巻である。
さらに驚くのは、このTTSで2010年のパイクスピークへの参戦を計画していることだ。1916年に開始されたパイクスピーク国際ヒルクライムは、米国で2番目に長い歴史を持つモータースポーツ。全長19.3kmの急勾配を一気に駆け上がり、タイムを争う。標高はスタート地点が2877m、ゴール地点が4300mで、標高差1423m、コーナー数156。コース後半の路面は未舗装路で、ゴール付近では標高の高さに起因する酸素不足により、パワーが約30%ダウンするという過酷なモータースポーツだ。
アウディとパイクスピークの関係は深い。現在はポルシェのトップ開発ドライバーを務めるウォルター・ロール氏が1987年、アウディ『スポーツクワトロS1』を駆り、初めて9分を切るタイムでパイクスピークを上りきったことで知られる。
無人カーで、2010年7月に開催されるパイクスピークに挑むフォルクスワーゲングループとスタンフォード大学。壮大なチャレンジを予感させる映像は、動画共有サイトで見ることができる。