いかにもフォルクスワーゲンらしい実直商品。高めのフロントシートと四角いボディで見切りはバツグンにしやすいし、リアシートは広さも角度も文句なしで、先代から前席優先のパーソナルカー傾向を強めた『ゴルフ』に快適性で差をつけている。
つまりファミリーカーとしての能力はこちらが上。目黒区世田谷区あたりのセカンドカーとして多く見かけるようになりそう。『ゴルフプラス』を買った人は「もう少し待っていれば……」と痛感しているかもしれない。
固めの足回りと強靭なボディが生み出す緻密な乗り心地や正確なハンドリングもまたフォルクスワーゲンそのもの。2.0リットル直噴ターボエンジンとコンビを組むギアボックスがトルコン式6速ATなのもいい。都市部でのマナーはDSGより確実に上だから。
フニャっとしたタッチのブレーキ以外は、このブランドらしい確実感であふれている。そしてとどめはライバルのヤル気をなくす367万円という価格。いったいフォルクスワーゲンの為替レートはどうなっているの?
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車雑誌編集部を経て独立。フランス車やイタリア車、ヒストリックカーなどスペックだけでは語りつくせないクルマや、コンパクトカーやディーゼル車など、生活に根づいたクルマの魅力をわかりやすい言葉で表現するのが身上。