「燃料電池車の実用化に向けて、本当のステージに一歩踏み込んだ」。ホンダの燃料電池車『FCXクラリティ』の開発責任者、藤本幸人氏は、新工場での第1号車のラインオフを見て、こう感慨にふけったという。
「しかし、これからが大変なんですよ。FCXが先導車に使われている箱根駅伝に例えれば、ここまで快走してきたのは平坦な区間。いよいよ4区を過ぎて、厳しい勾配の続く5区に差し掛かったというのが今の状況だと思います」
FCXクラリティの生産予定台数は、3年で200台。月産わずか5.5台という勘定になる。一般に言う“量産”とはかけ離れたイメージだ。もちろん致し方ない部分もある。最も大きな問題と言われているのは、水素供給のインフラが未整備であるということだろう。現状では、FCXクラリティを運用可能なのは、水素ステーションのある地域に限られてしまう。