セダンではないタイプのクルマを渇望する(!)このマーケットに、欧州からのコンパクトSUV、ついに登場! ……とはいうものの、これはあくまでも『トゥアレグ』を持つ彼ら(VW)にとってのスモール。その『ティグアン』は、たとえば全幅はしっかり1800mmを超えている。
もうひとつ興味深いのは、ヨーロッパのメーカーは、この手のモデル---つまり「SUVならオフだ!」として、そこでの走行性を重視すること。その結果、ミッションも得意のDSGではなく、オフ走行には有利という普通のATをわざわざ搭載したりする。
ただし、全長4460mmは、日本の郊外を走ってみても、やっぱりイージー&リラックス。そしてアクセルを踏めば、SUVであることを忘れるようなキビキビした運動性も楽しめる。
惜しむらくは、その走りのフィールにいい意味での“ユルさ”がないこと。なぜかいつも、「さあ、もっと速く走りなさい!」とクルマから諭されているような感覚を持ってしまうのは私だけ?!
家村浩明|ライター
雑誌編集者を経て、1985年頃よりフリーランスで執筆活動を開始。時代を映す「鏡」としてのクルマに関心を持ち、歴史的考察や新型車の批評のほか、開発ドキュメントやモータースポーツを執筆テーマとしている。著書に『自動車コラム大全』、『ル・マンへ…レーシングNSXの挑戦』、『最速GT-R物語』、『プリウスという夢』など。