DOHC2リッターターボ仕様の走り味は、これまでボクが抱いていた『WRX』の概念をことごとく覆すものだった。いきなりハッチバックで登場したのも驚きならば、走りのキャラクターも激変したのである。
スポーツ仕様は『STIバージョン』に譲るといっても、WRXだというのに走りそのものにハードな印象はない。足まわりは優しく、ロールも深々と発生する。ハンドリングにもシャープな印象はなく、あえていうならアーバンスポーツといった趣なのだ。少なくとも、250psのターボモデルという響きからはかけ離れている。
もっとも、それがクルマとして劣っているかといえばそうでもない。スパルタン一辺倒の性格を改めただけで、長距離移動を優しくこなすのだ。速さが欲しければSTIを、というワケであろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★☆☆☆
オススメ度:★★★☆☆
木下隆之| モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。「ジェイズな奴ら」を上梓するなど、作家の肩書きも。