すでに定評のあるインフィニティ『G35』として、米国市場の稼ぎ頭になるクルマである。ますますアメ車なんだろうなと、あまり期待せずに乗ったら、意外や武闘派のスポーツセダンだった。
とくに4WAS付きの「350GT」は、痛快なハンドリングカーである。アクティブステアリング付きのBMW『330i』をベンチマークにしたのがヒシヒシと伝わってくるが、この値段でここまでやるのは立派。
ひとことでいうと、よく回るようにした改良「VQ」エンジンは、2.5リッターも3.5リッターも触れ込み通り。フリクションが減って、気持ちよく回るようになったが、3.5リッターはグワっと噛みつくようなふきあがりが、少々やりすぎ。もう少しスロットルレスポンスを穏やかにするべき。
スポーツ・サスペンションと18インチホイールを備える350GTは、タウンスピードでの乗り心地がちょっと荒っぽいが、2.5リッターは普通すぎて、飛ばし屋にはモノ足りないはず。でも、旧型よりはるかに意欲作であるのは確か。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★☆
下野康史| モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部を経て、モータージャーナリストに転身。現在はクルマ雑誌を始め、週刊誌のコラムなど幅広く執筆活動を行っている。親しみやすい文体のなかに見える、鋭い着眼点や独特の語り口にファンは多い。