先述の500クラブが数で攻めたのに対して、こちらの展示台数は11台。では、何で頑張ったかというと、ディスプレイだ。トリノの芸術高校の学生さんたちに依頼して、段ボールに等身大の女性モデルを描いてもらったのである。
段ボールとはいえ、これが結構ラテンムード溢れる、妖艶なお姉さんたちに仕上がった。そのため、300以上ある出展者の中でひときわ目立つスタンドとなった。
モデルは女性だけでない。フィアットの故ジョヴァンニ・アニエッリ名誉会長像も作って、メインスタンドのビアンキーナに載せた。有名な広報写真の再現である。ちゃんと押さえが効いている。
3 | 生ソーセージにラード |
そんなアウトビアンキ保存会のスタンドを遠巻きに眺めていると、「オーヤ!」と、あたり一帯に響きわたる声で呼びとめられた。保存会会長夫人のラウラ女史である。
実はこのクラブ、ボクは5年前にミラノで取材したことがある。ラウラ女史はいまだボクの名前のどっちが姓だかわかっていないらしく、「オーヤ」と呼ぶ。で、「これから会員でランチパーティをするから、食べてゆけ」という。すでにクルマの間にピクニック用のテーブルとブラスチック椅子が設営してある。
やがてメンバーたちは、さまざまな食べ物を広げ始めた。すべてお惣菜屋さんや肉屋さんで買い揃えたものだが、妙な持ち寄り制度を決めて参加者にプレッシャーを与えるより、よほどいい。パンはセルフサービスで好きな厚さに切り、好みの具をはさんでパニーニを作って食べる。