世界で開発競争が激化しているディーゼル関連技術。デンソーは得意のピエゾコモンレール式燃料噴射ポンプを軸に、吸気から排気まで、排ガス浄化技術を幅広く展示した(東京モーターショー、10月19日−11月6日)。
噴射ポンプの噴射圧は現在、180MPa(1800気圧)だが、「今後数年で200MPaをオーバーする」(デンソー関係者)と、今後もポンプの高機能化は確実に進んでいくという。
ディーゼル関連で現在注目されているのは、日本市場への新世代ディーゼル乗用車投入の成否。ダイムラークライスラーが日本に『Eクラス』のディーゼルモデル投入を表明しているが、他メーカーは今のところ“静観”の構え。
デンソーのエンジニアはディーゼル乗用車の普及について「ディーゼル車はすでに、商品力の面では十分以上にユーザーに受け入れられるだけの水準に達している。静粛性は高く、加速力も申し分ありません。燃費はもちろんいい」と語る。
日本のディーゼル排ガス規制はきわめて厳しいものだが、これについても十分対応可能であるという。「欧州のEURO4はもちろん、EURO5も現有技術の延長でクリアできます。(平均車速の低い)日本の排ガス規制も同様。また、ディーゼルの課題である排ガス中のSPM(超微細微粒子)、ナノ粒子についても、技術的に十分対処できると考えています。ウチだけでなく、ディーゼル関連サプライヤー各社それぞれ、有力な技術を持っている。ディーゼルの将来性はかなり明るいと思いますよ」(前出のエンジニア)
日本ではネガティブなイメージがつきまとうディーゼル車だが、その性能はこの10年で驚くほどの進歩を遂げた。ディーゼル乗用車がふたたび日本市場で市民権を得ることができるかどうか、注目される。