SUVとスポーツカーを融合させるという、じつにマツダらしい発想が面白い! 実際にハンドルを切った瞬間にスパッとノーズの向きが変わって、スポーツカー感覚のハンドリングを楽しむことができる。
先代の『スカイライン』は、ちょっと中途半端な印象があったが、新型はスポーツセダンとしての方向性が明確で、走りもその期待を裏切らなかった。
『オーリス』では1.5リッター/1.8リッターを搭載しているボディに、2.4リッターのエンジンを載せているのだから、そのトルク感たっぷりの加速には重厚ささえ感じるほど。
乗用車の任務は、どこまでも人間を安楽快適に運ぶこと。それを知り尽くしてこそ、こういうセダンを作れる。日本に蔓延するベンツ・ビーエム症候群に対して、こんなに強烈なカウンターパンチはない。
はっきりいって、デザインは退化した。それが最大のポイントだった初代(先代)のコンセプトを守り、そのうえで新型らしく変えようとしたところに少し無理がある。
これもVWプラットフォーム戦略の一貫。最近ヨーロッパで大流行している手頃なサイズの4シーターオープンだが、こんな遊びグルマでも真面目な雰囲気が表面に出てしまうところがVWらしい。
雰囲気は少しタフっぽいが、じつは都市生活のアクセサリーになるソフトSUV。いや、クルマ界の現状からすれば「クロスオーバー」と呼ぶべきだろう。
内容面では先代(3代目)を発展させ、デザインなどの雰囲気は大ヒット作の2代目を思い出させる。
40年にわたる歴史を踏まえた10代目。フルチェンジなのにサイズアップしなかった見識はみごと。それでもフロアを平らにして心理的なひろびろ感を演出したのは努力賞モノだ。
以前、内装自慢の日産『ティーダ』と、いちばん安いVW『ゴルフ』を比較試乗したとき、センターラインにキャッツアイがズラッと並ぶ道があった。中央分離帯を兼ねたような特大のキャッツアイである。