新型マーチには、多彩なアイテムが装備されるが、もっとも注目されるのは、1.2リットルと1.4リットルモデルにオプション設定される新しいカーコミュニケーションシステム、カーウイングスだろう。カーウイングス・ユニットに携帯電話をつないで使用する。
ベーシックカーといえども、『マーチ』に安全上の手抜きはない。日産は安全技術をインフォメーションセーフティ、コントロールセーフティ、インパクトセーフティの3要素からなるものと主張してきたが、新型マーチにもその思想は大いに盛り込まれている。
新型『マーチ』のサスペンションは前:ストラット、後:トーションビーム。フロントサスは、乗り心地と静粛性の大幅な向上が図られている。リアサスペンションは日産お得意のマルチリンクビームではなく、コンベンショナルはトーションビーム方式。
新型『マーチ』のエンジンは、エンジンブロックを含めオールブランニューとなる新直列4気筒、「CR」エンジンだ。コスト制約の厳しいベーシックカー用エンジンでありながら、連続可変バルブタイミングコントロールを採用するなど、10年ぶりのフルモデルチェンジにふさわしい力作だ。
先代のデビューから10年近くを経てフルモデルチェンジされた新型マーチのメカニズムは、安全、環境といった今日の問題に対応するべく、ほぼすべてが一新されている。
新型『マーチ』のデザインは実に大胆だ。Aピラーに近い高い位置に設けられた縦列配置のヘッドランプ、小型車としては異例に複雑なウェストラインとリアビュー、そしてその上に乗るのはややレトロ調なオーガニックデザインのキャビン。他のどのベーシックカーとも似ていない、新型マーチだけの世界である。
フルモデルチェンジを受けて3代目となったK12型『マーチ』の開発コンセプトは「ユーザーフレンドリーを追求した、おしゃれな新世代コンパクトカー」。「人への優しさ」をキーワードとし、日本を代表するベーシックカーというブランドイメージを築いた先代モデルのK11型からの正常進化といえる。
「これからはトヨタ以外への納入比率を上げていかなければと思っている」。トヨタ系部品メーカー、アイシン精機の和田明広会長はこう語った。アイシン・ブースで注目されるのが、新開発の可変流量ターボチャージャー。
「直噴ディーゼルの進歩は早い。たとえばキャタピラーシステムを使用したいすゞさんのRV用3リットル直4直噴ターボディーゼルは、数年のうちに消える運命ですね」。デルファイ・オートモーティブ・システムズの関係者は、日本のテクノロジーをバッサリと斬る。
VW『ゴルフ』のエンジンに、ついに直噴ガソリンが登場する。シリンダー内に直接ガソリンを噴射する直噴エンジンは、日本では三菱、トヨタ、日産がラインナップしていることでポピュラーな存在だが、海外メーカーではほとんど例がない