STマイクロ、AI搭載車載マイコン「Stellar P3E」発表…エッジAI処理で従来比30倍の効率

車載用マイクロコントローラ(マイコン)「Stellar P3E」
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STマイクロエレクトロニクスは2月10日、車載エッジインテリジェンス向けの組み込みAIアクセラレータを集積した初の車載用マイクロコントローラ「Stellar P3E」を発表した。

次世代のSDV(ソフトウェア定義型自動車)向けに設計された同製品は、リアルタイムでのエッジAIアプリケーションを可能にし、自動車のインテリジェンスを大幅に強化する。

Stellar P3EはX-in-1により、複数の電子制御ユニット(ECU)の多機能統合を簡略化することが可能になるため、システムコストや重量、複雑さを低減する。柔軟なリアルタイム性能により、ハイブリッドやEVシステムから車体ゾーンアーキテクチャまで、安全性と応答性に優れたアプリケーションを実現する。

同製品の最大の特長は、リアルタイムでAIの効率を上げるSTのNeural-ARTアクセラレータを内蔵していることで、これは自動車産業向けの組み込みニューラルネットワークアクセラレータを搭載した初のマイコンとなる。専用のニューラルプロセッシングユニット(NPU)と、AIワークロード向けの先進的なデータフローアーキテクチャ、豊富なセンシング機能を組み合わせることによって、P3Eはスマートセンシングを可能にし、バーチャルセンサなどの新しいアプリケーションの可能性を切り開く。

Stellar P3Eはマイクロ秒の速さで推論を処理し、従来のマイコンのコアプロセッサと比較して最大30倍の効率を実現する。これにより予知保全やスマートセンシングなどのリアルタイム機能を支える常時オンかつ低消費電力の人工知能(AI)が可能となり、幅広いアプリケーションに多くのメリットをもたらす。

これらの機能は、電気自動車の充電時間を短縮して効率を上げるほか、工場や現場で新機能を迅速に追加することにも役立つ。自動車メーカーは、多様なAIモデルを利用して新機能を導入し、直観的な動作をより多く追加することで、センサやモジュール、配線、統合作業を最小限に抑えることができる。

自動車業界がソフトウェア定義型自動車(SDV)への移行を進める中、その導入に不可欠となる拡張性と柔軟性を実現するのが、Stellar P3Eの内蔵xMemoryである。xMemoryは、相変化メモリ(PCM)をベースにしたST独自の不揮発性メモリであり、本質的に大容量化が可能で、柔軟性にも優れている。従来の内蔵Flashメモリの2倍の密度を備え、車載環境向けに品質信頼性認定も取得している。

この拡張可能なメモリソリューションにより、ソフトウェアストレージをダイナミックに拡張できるため、ハードウェアを再設計することなく新機能を取り込み、ソフトウェアの更新ができる。

Stellar P3Eは、包括的エッジAIエコシステム「ST Edge AI Suite」で完全にサポートされている。そのためデータサイエンティストや組み込みエンジニア向けに、データセット作成からデバイスへの実装まで幅広く対応が可能である。ST Edge AI Suiteの一部として、Stellarマイコンファミリ全体に対応した「NanoEdge AI Studio」ツールが現在入手可能だ。

さらに、自動車エンジニア向けのSTのオールインワン開発環境「Stellar Studio」にも、Stellar P3Eがすでに統合されている。これらにより、要求の厳しい自動車環境に高度なエッジAIソリューションを容易に導入できる堅牢なハードウェア・ソフトウェア開発エコシステムが一層強化される。

Stellar P3Eは、2026年第4四半期に量産が開始される予定だ。

《森脇稔》

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