寒い冬がやってきた。日本は夏は40度を超える一方で冬は氷点下になることもあり、季節の温度差が大きい。そんな環境でチューニングカーに乗るなら、普通のクルマより少しだけ気を配りたい。どんなところに注意すべきだろうか。
1:暖気のしすぎに注意
冬ほどしっかりとエンジンを温めてから走り出したくなる。しかし、やり過ぎは禁物だ。アイドリングはエンジン回転数が低く、連動しているオイルポンプもゆっくり回っている。オイルが冷えているときは粘度が高いのでまだしも、油温が上がってくると油圧が徐々に下がってくる。油圧が低い状態で長時間アイドリングを続けると、エンジン内部の潤滑不良を起こしてトラブルにつながる。
ガラスが凍っているため数分アイドリングして温め、溶かす程度なら問題ない。一方で室内を温める目的で30分、1時間とアイドリングするのはおすすめできない。同様にエンジンを掛けたままの長時間の休憩や車中泊も同様だ。一酸化炭素中毒のリスクがあるのはもちろん、エンジンの負担という意味でも望ましい使い方ではない。
2:エンジンオイル粘度は下げるのもあり
オイル粘度はクルマごとの指定を守るのが基本だ。粘度が高いほど保護性能が高いと思われがちだが、エンジンは指定粘度に合わせて設計されている。無闇に硬いオイルを入れると、サーキット走行やワインディングで前後左右にGが掛かった際に、オイルのオイルパンへの戻りが遅くなることがある。結果としてオイルパンにオイルがない「空吸い」状態になり、エンジンブローに至った例もある。
粘度は指定に従うべきだが、クルマによってはある程度の幅が持たせてある場合もある。例えば0W-20と5W-30のどちらかを使う、といった指定だ。冬場で街乗りがメインなら低粘度側にすると始動性が良くなり、寒いときのエンジンレスポンスが軽く感じられるメリットもある。ただし、選択はあくまで純正指定範囲内が基本で、それ以外はプロショップや整備士の意見を仰ぎたい。
3:クーラント、ウォッシャー液の凍結温度
エンジンを冷やしているクーラントは、チューニングカーではスポーツクーラントを使っている人も多い。そこで注意したいのが凍結温度だ。一般的なストリート向けスポーツクーラントなら-15度、-20度などに対応していることが多いが、一部のサーキット向けクーラントでは不凍性能がほぼない場合もある。もし凍結すると、水が凍るときに膨張する力でシリンダーブロックにクラックが入るなど重大なトラブルにつながる。また、減った分を水で補充し続けるとクーラントが薄まり、不凍性能が低下しているケースもある。
重大トラブルではないが気をつけたいのがウインドウォッシャー液だ。普段から真水を入れている人もいるが、真冬はホース内で凍ってウォッシャーが出ないことがある。通常時なら「水が出ない」で済むが、降雪時はフロントガラスが汚れて前が見えないほどになることもある。そんなときにウォッシャーが出ないのは危険だし、運よく出ても噴射した水がすぐ凍って、さらに視界を悪化させることもある。ウォッシャー液は不凍性能があるので、冬場にはぜひ入れておきたい。
4:ミッションオイルが硬い
マニュアル車は、ミッションオイルが冷えるとギアが入りにくくなることがある。夏場は気にならなくても、冬の冷間時に1速に入りにくい、1速から2速に入りにくいと感じるケースは多い。冬だけ柔らかいミッションオイルに替えるのも手だが、年に何度も交換するのは現実的ではない。そこで有効なのがダブルクラッチだ。回転を合わせやすくなり、ギアが入りやすくなるため、ドライバーの操作で負担を補ってほしい。
また、同じ粘度表記でもメーカーによって冷間時のフィーリングが柔らかめ、硬めと差が出ることがある。冷間時に柔らかめの傾向があるメーカーのミッションオイルを選ぶのも対策のひとつだ。





